大半の商品を一斉に値上げ Apple製品の購入は「時期が悪い」のか
日本時間の6月24日深夜、Appleが販売している製品の値上げを突如発表した。iPhoneとApple Watchの各製品は価格を据え置いたが、10万円未満で買えるノートPCとして注目された「MacBook NEO」は約12万円に、手頃価格のタブレット端末だった「第11世代iPad」は約5.9万円から約7.5万円に引き上げられた。
ハイスペックPCシリーズ「Mac Studio」の最上位モデルは、基本価格を110万円に設定。値上げ前も約89万円という高価格の製品だったのだが、値上げ後のiPad3台分の価格を上乗せ。展示品などを再整備した上で、定価よりもわずかに安く買えるようになる「認定整備済製品」も、現在発売されていない旧モデルを含めて値上がりしている。
もっとも、値上げ自体はAppleでCEOを務めるティム・クック氏自ら予告を出していた。今月中旬にウォール・ストリート・ジャーナルが行ったインタビューで「残念ながら値上げは避けられない」と明言。この発言を受けて値上げへの心構えをしていた人は少なくなかったようだが、インタビュー公開から約1週間で平均数万円の値上げをしたのだ。
値上げの理由については、Apple製品で使用している部品の高騰が原因だとし、全世界で販売するApple製品に適用されている。この発表が行われた直後には、各家電量販店のオンラインショップサイトで、Apple製品が次々売り切れる現象が発生。値上げ後の価格が反映される前の駆け込み需要とみられるが、一部ECサイトではApple製品のページにアクセスすると「この商品は存在しません」と表示されるなど、若干の混乱がみられた。
Apple製品の値上げは、これまでも不定期に行われてきた。従来は新製品の発表時、新機能などを発表した上で徐々に価格を引き上げる手法を採用していたが、2022年には円安を理由にした値上げを日本限定で実施している。だが、これだけの上げ幅での値上げは過去に例がない。値上げの発表後、Appleの株価は前営業日比で6%以上下落。ダウ平均株価を押し下げ、前日比でマイナスになりかけるほどの、ネガティブインパクトを与えている。
「値下げ待ち」は自分が苦しむ?
パソコンの部品などが値上がりすると、日本のインターネット上では「今は時期が悪い」とコメントし、買い控えを助長するような空気が一部で生まれる。値上げの発表から数カ月が経過すると、新しい製品が発売されたり、値上げの要因が落ち着いたりして、価格がほぼ必ず値下げされる傾向があるからだ。
2011年に発生したタイの洪水では、大手ハードディスクメーカーの2社がタイに工場を持っていたことから、今後の製品不足などを見越してハードディスクの価格が高騰。一方で、当時はパソコンへの標準搭載が珍しかったSSDの価格が下落。その後は各社の工場再開、新製品の投入などを経て、ハードディスクの価格は洪水発生前の水準にまで戻った。この出来事は、少し待てば安い価格で商品が手に入るという「成功体験」につながり、単なるネットミームに説得力を持たせることにもなった。
だが、今回の半導体不足や円安は自然災害などが原因ではない。むしろ、Appleが値上げの理由として挙げた2点は、今後もApple製品を値上げする口実になる可能性が高い。9月から新CEOに就任するジョン・ターナス氏は、創業者であるスティーブ・ジョブズ氏の思想をクック氏よりも前面に押し出すのではないかと評されており、これまで以上に高級ブランド化を加速させる可能性もある。
長年Apple信者を自称しているYouTuberの瀬戸弘司は「値上げしすぎだろ!!!」とXに投稿した上で、購入予定だったカスタマイズ済みのMacBook Proの価格が174万円以上になったことを紹介。この規模の買い物でなくとも、Apple製品に対して「待てば海路の日和あり」は、今後通用しなくなるのかもしれない。
文/池田聖人 内外タイムス編集部


