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モスバーガーはなぜ和食業態を買収したのか? 競争激化で飽和化する市場での巧みな生き残り策

「モスバーガー」を運営するモスフードサービスが、「和食・酒 えん」「おぼん de ごはん」など、和食業態を中心とした飲食店を展開するビー・ワイ・オーを買収すると発表した。買収額はおよそ112億円。このM&Aでモスは多業態化を加速することになる。

モスの足元の業績は極めて堅調だ。2026年3月期は売上高が初めて1000億円を突破、営業利益、純利益ともに過去最高益を更新している。既存店売上は前期比で9%増加。客数、客単価ともに増えており、その好調ぶりがうかがえる。

ただし、売上は過去最高となっているものの、2026年3月末時点の店舗数は1310店舗で、前年から8店舗の純減だった。19店舗を新規出店している一方、27店舗を閉鎖したのだ。収益力の向上が店舗数の増加とシンクロしていないところが一番のポイントだ。

モスの売上が好調な要因の一つが、客単価の向上だ。秘策が「価格のグラデーション化戦略」である。これは、価格帯を500円前後の「レギュラー」、600~700円の「プレミアム」、800円以上の「超プレミアム」に区分けし、節約志向とプチ贅沢志向の両方のニーズを拾おうとするものだ。

インフレによる節約志向の高まりで、飲食店の利用頻度はコロナ前と比べると落ちている。飲食店が客数を落とさないためには、幅広いニーズを丁寧に拾い上げる必要があるのだ。その施策が奏功した。

また、モスは肉に厚みをつけた商品などを展開する「夜モス」にも注力。ランチタイム以外の需要獲得強化策にも動いた。結果として、客単価と客数の底上げを図ることができた。

しかし、店舗数が減少していることからも、出店拡大によって成長する勢いには欠けているように見えるのだ。

強気の出店戦略で店舗網を拡大するマクドナルド

ハンバーガー市場は競争の激しさが増している領域である。3000店舗を超えるマクドナルドは、2027年度までに100店舗の純増を掲げている。2026年度は40~80店舗の純増を計画中だ。

マクドナルドは圧倒的な知名度を武器に、朝昼晩からカフェのニーズまでも獲得した。タイムパフォーマンスを重視する若者たちにとって、「マクドナルドに行こう」という合意形成はとりやすく、時代に適したブランドでもある。

香港の投資ファンドからアメリカの金融大手ゴールドマン・サックスの手に移ったバーガーキングも出店拡大中だ。2019年に経営再建のために大量の退店を実施。その後反転攻勢に出て2026年5月に350店舗を突破した。2019年比で店舗数は4.5倍に拡大している。

ハンバーガーに近い業態では、ワタミが買収したサブウェイも好調だ。2024年に18店舗、2025年に38店舗を新規出店。堅調に店舗網を拡大している。既存店の売上は67カ月連続で前年を上回るほどの盛況ぶりだ。DX化による注文のしやすさが消費者の抵抗感をなくし、客数の増加に弾みがついているようだ。

モスバーガーは、とりわけブランド力が強いハンバーガーショップだ。過当競争で割引クーポンなどによる集客施策に頼ると、ブランド毀損のリスクがある。店舗を拡大するよりも、巧みに調整を図って収益性を維持する方がブランドを守ることにもなるだろう。

モスはすでに新業態「玄米食堂あえん」を開発し、代々木上原の駅ビルや川口駅前などに出店していた。新たなブランド展開を進めていたのだ。今回買収したビー・ワイ・オーが持つブランドは、どれも洗練されている印象がある。ブランド戦略に強みを持つモスフードサービスには親和性の高い会社だと言えそうだ。

文/不破聡 内外タイムス

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