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市の農薬データは妥当か JA資料との乖離が示す問題 宮古島地下水研究会 友利直樹(医師)

 宮古島市がシンポジウムで示したネオニコチノイド系農薬とフィプロニル の「有効成分量」データに、大きな疑問が生じています。市が提示した数値は、JAおきなわ宮古地区本部資料から把握する実際の供給量と大きく食い違い、公式資料として市民に示すには不正確だと考えられるためです。
 まず、宮古島市で最も多く使われているフィプロニル製品はプリンスベイトで、有効成分フィプロニルを0.5%含みます。したがって、有効成分量は「製品量×0.5%」で簡単に算出できます。
 市の資料では2012年・2013年の有効成分量は約1000kgと示され、これは過去の市公式報告書と一致しています。
 しかし、2016年以降の数値は市環境衛生局が独自に算出したもので、研究会がJA資料から計算した値と大きく異なります。研究会の計算では、プリンスベイトの供給量は2014年以降大幅に減り、有効成分量は年間200~300kgで推移しています。ところが市の資料では、2018~2024年の有効成分量が3723~6273kgと示され、平均値は研究会の約24倍もの数値です。もし市の数値が正しいとすれば、宮古島市だけで2019年度年間1024トンものプリンスベイトが供給された計算になり、全国出荷量の約2倍に相当します。これは現実的にありえません。
 同様の問題は ネオニコチノイド系農薬でも起きています。研究会は2020年度JA資料に基づき、主要4製品(ダントツ、スタークル、アドマイヤー、モスピラン)の購買量と含有率から有効成分量を算出しました。
 有効成分量合計は1.7トンです。市の資料では2020年の主要4成分の有効成分量合計は約8.5トンであり、有効成分量は5倍も多く、研究会のデータと大きく乖離しています。
 市の資料では有効成分量のみが示され、元となる製品量のデータが公開されていません。本来、有効成分量は「製品量×含有率」で算出されるため、製品量を示さないまま有効成分量だけを提示しても、市民は実態を判断できません。
 さらに、市の数値を製品量に換算すると、宮古島市だけで全国出荷量の18%を購入している計算になります。研究会の算出では4%であり、市の数値は極めて不自然です。
 このように、市が示したデータは、JAおきなわ宮古地区本部の供給量と整合せず、算出方法にも疑問が残ります。誤ったデータが市民に提供されれば、農薬による地下水汚染の実態を正しく理解できません。農薬の使用量は、地下水保全や健康影響を考えるうえで極めて重要な情報です。したがって、農薬の供給量や有効成分量については、専門部署である農林水産部や地下水審議会学術部会が再検討し、正確なデータを市民に公開することが求められます。
 市民が安心して暮らすためには、行政が信頼できる情報を提供することが不可欠です。


宮古島地下水研究会 友利直樹(医師)

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