【投稿】宮古島市の発達障害児データ 市の説明に誤りはないか 宮古島地下水研究会 友利直樹(医師)
「宮古島市で発達障害児が44倍に増えた」とするインターネット上の情報について、市はシンポジウムや広報誌で「事実誤認であり、宮古島市だけが急増している事実はない」と断定しました。しかし、私は市が示した資料には複数の誤りがあり、正確な分析に基づく説明とは言えないと考えています。
まず、市の資料には特別支援学級全体と特別支援「自閉症・情緒障害」学級を混同した記載があり、専門部署としては看過できない初歩的なミスがあります。研究会が県学校基本調査を再確認したところ、さらに「市シンポジウム」資料と「広報みやこ5月号」で、E市(浦添市)の在籍実数や増加倍率を別の市と混同して記載しています。誤ったデータから「異常はない」と結論づけることはできません。
研究会が示した「8年間で44倍」は、医学的診断が確定した児童ではなく、発達障害の特性があり教育的配慮を要する「自閉症・情緒障害学級」の在籍数です。市が説明した「特別支援学級全体」とは異なる指標であり、両者を混同したまま議論することは適切ではありません。
私が最も問題視しているのは、宮古島市だけが2018年以降、他市と比べて急激な増加を示している点です。市の資料を基に、宮古島市の自閉症・情緒障害児在籍率を分析すると、2014~17年平均と比べ、2018~22年で 5.8倍。県全体や浦添市と比べても 2.3倍の増加です。この差を無視して「推移に大きな差はない」と断定することはできません。
特に懸念されるのは、特別支援学級に在籍する小学校男子児童の増加傾向です。研究会の分析では、2018年から男子の在籍が急増し、男女比が拡大しています。特別支援学級在籍7区分に於いて、自閉症・情緒障害は性差が大きい区分であり、男子の急増の要因であることが推測されます。しかし県の調査には自閉症・情緒障害児の男女別の記載がなく、市教育委員会に男女別データの公表を要望します。
また、私は内分泌・代謝内科専門医の立場から「小学校男児の高度肥満の急増」も重大な問題と考えています。
市は「データはない」と説明しましたが、研究会は過去に市から6年分のデータを受け取っており、2023年度以降の提供を求めています。子どもの健康状態を把握するためにも、早急な公開が必要です。
背景として、ネオニコチノイド系農薬の動物実験では、発達神経毒性や腸内細菌叢の多様性低下が雄に強く現れるとの報告があります。複数の農薬を含む水道水を日常的に摂取する妊婦や幼児に、同様の影響が及ぶ可能性を懸念しています。因果関係が未解明であっても、子どもたちの健康と未来を守るため、市には予防原則に基づく対策と、正確なデータに基づく説明が求められます。
宮古島地下水研究会 友利直樹(医師)



