サイドイベントに出席した現役学生ら

#9 東大生が国連で沖縄問題を発信 「沖縄・日本への思い」を胸に若者が挑む

 【ジュネーブ】7月中旬にスイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた先住民族に関する会議(EMRIP19)に東京大学の学生らが参加し、国内では十分に知られていない「沖縄先住民族」を巡る議論について自らの考えを英語などで発信した。参加したのは東大の政治サークル「右合の衆」代表の山田泰さんや、同大学院修士1年の中山雄稀さんら。国連の場で沖縄県民を先住民族と位置付ける主張や自己決定権・独立を巡る議論が行われていることに問題意識を持ち、国際舞台で自らの言葉を届けた。

 本紙では、沖縄県民のアイデンティティや存在を揺るがしかねない同問題と、地球の裏側であるジュネーブの国連本部で繰り広げられる地方議員団らの活動の様子をシリーズで多角的に報告していく。今回はその第9弾。

 山田さんは半年前に初めて国連を訪れた際、実際に沖縄独立などの主張を展開する人々が存在することを知り大きな衝撃を受けたという。その後、サークルメンバーと沖縄を訪れて街頭アンケートなどを実施。「多くの県民が日本人としての認識を持っている」と確認した上で今回の会合に臨んだ。

 会場では「沖縄は日本の植民地」「沖縄県民は先住民族」といった対立する主張の参加者とも接触を試みたが、「意見が違うこと自体は仕方ないが、質問しても対話に応じてもらえなかったことが最も残念だった」と振り返った。

 その上で「自分の出身県が一部の人によって独立へ向かおうとさせられていると想像したら、自分ごととして行動せずにはいられない。その感覚が、沖縄問題に向き合う原動力になっている。沖縄は日本の一地域であり、その未来は日本全体の問題だ」と語った。

 一方、中山さんは会議の場で「AIは真実を判断するものではなく、権威ある情報源として扱われた主張を繰り返す傾向がある」と英語で指摘。国際機関等で繰り返される情報がAIに影響を与える可能性に触れ、政治的主張は十分な根拠に基づき慎重に検討されるべきだと訴えた。

 さらに「沖縄には多様な歴史観やアイデンティティがあり、一つの団体が県民全体を代表するとみなされるべきではない。自らのアイデンティティを選ぶ自由と、他者から一方的に与えられない自由の両方を守る必要がある」と強調した。

 同団体は、国連の会議で沖縄県民を先住民族と位置付ける主張や、沖縄の自己決定権・独立をめぐる議論が行われていることに問題意識を持ち、東京・ジュネーブ・沖縄などで意見表明を続けている。山田さん、中山さんともに沖縄に特別なゆかりがあったわけではないが、遠く離れた国連で沖縄を巡る議論が交わされる現実を目の当たりにし、「自分たちの問題」として行動を起こした。SNSなどを通じて現地の様子を発信しており、若者による新たな政治参加の一つの形として注目を集めそうだ。 (ジュネーブ特派員 吉岡綾子)

関連記事一覧