日米共同演習「キーンソード27」 19日から宮古島でも実施 沖縄防衛局が計画公表
沖縄防衛局は2日、今月19日から29日までの11日間にわたり実施される日米共同統合演習(実動演習「キーン・ソード27」)の概要と県内の訓練計画を公表した。宮古島市内では宮古空港や平良港、陸上自衛隊宮古島駐屯地、航空自衛隊宮古島分屯基地、保良訓練場など各種インフラや防衛施設が幅広く活用される。同局は2日までに宮古島市役所など地元自治体を訪れ、計画の詳細を説明したとみられる。

同演習は各種事態における日米の共同対処能力や自衛隊の統合運用能力の維持・向上を目的に1985年から概ね隔年で実施されており、今回で18回目となる。
今演習では今年新設された「統合作戦司令官」が初めて全自衛隊の指揮を執り、自衛隊から約4万5千人、米軍から約1万2千人が参加。オーストラリア軍などの同志国軍も加わる大規模な統合実動演習となる。
宮古島市内で計画されている訓練では、宮古島駐屯地および保良訓練場において日米の共同調整所を開設・運営し、島嶼防衛に係る机上・連携訓練を実施。米海兵隊第12海兵沿岸連隊や米陸軍約130人が参加し、対空レーダー(TPS―80)等を持ち込んで連携を図る。併せて、シミュレーターを用いた非実射での対空戦闘訓練や、民航機・住民生活に影響しない周波数を使用した統合電磁波作戦訓練が行われる。
宮古島分屯基地では、防府北基地から空自の「衛星妨害状況把握装置」を展開させる宇宙状況把握に関する訓練や、与那国島・石垣島との間を結ぶ統合通信回線構築訓練を実施。さらに、民間インフラの宮古空港や平良港を活用し、日米の輸送機・大型ヘリ・オスプレイの飛来・展開、民間PFI船舶「はくおうⅡ」等を用いた自衛隊車両や人員の補給・輸送荷役訓練が盛り込まれている。
近年の主な演習実績と内容
| 実施年 (演習名) |
参加規模 (日米合計) |
主な訓練内容・トピック |
|---|---|---|
| 2026年 (キーン・ソード27) |
自衛隊・米軍等 (全国・南西諸島等で実施) |
宮古島など先島諸島を含む沖縄県内や全国各地で展開。共同調整所開設、対空戦闘、統合電磁波・通信・宇宙状況把握訓練、PFI船舶等による統合後方輸送・港湾荷役訓練などを実施。 |
| 2024年 (キーン・ソード25) |
約4万5,000人 (自衛隊3.3万 / 米軍1.2万) |
住民避難訓練や負傷した隊員を前線から本州などへ搬送する「後方医療・衛生訓練」が中心。民間空港・港湾の活用を本格化。 |
| 2022年 (キーン・ソード23) |
約3万6,000人 | 鹿児島県徳之島での日米オスプレイによる初の合同降下訓練、敵に占領された離島を奪還する着上陸訓練などを実施。 |
| 2020年 (キーン・ソード21) |
約4万6,000人 | 鹿児島県臥蛇島(がじゃじま)での初の離島着上陸訓練、および初の宇宙状況監視(SSA)訓練を実施。 |
| 2018年 (キーン・ソード19) |
約5万7,000人 | 国内初となる、米軍のC-130J輸送機から陸上自衛隊第1空挺団がパラシュート降下する共同訓練を実施。 |
過去の南西諸島での演習では、2022年に与那国島で16式機動戦闘車が民間公道を初走行した際、住民から懸念の声が上がったほか、2024年の演習時には与那国駐屯地で陸自オスプレイが離陸直後に地面と接触し損傷する事故が発生。さらに、住民12万人の避難には最短6日を要する試算や、有事の部隊展開と国民保護のインフラ競合など深刻な課題も指摘されてきた。
また、直近では昨年9月の「レゾリュート・ドラゴン25」において、平良港下崎埠頭から宮古島駐屯地へ向かおうとした陸自車両に対し、市民団体「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」のメンバーらがゲート前で約3時間にわたり進行を阻む抗議行動を展開。車両が船へ戻され、輸送が不成立となる事態も起きている。
防衛省・防衛局は「住民の安全確保に十分配慮する」としているが、新防衛体制下での最新兵器の導入や民間インフラ活用が進む中、大規模な演習や軍事物資輸送に対する地元の警戒感は根強く、過度な緊張感や事故防止に向けた取り組みの徹底が強く求められている。
日米演習「必要性理解も安全徹底求める」 嘉数市長コメント 市民不安軽減へ情報発信要求
沖縄防衛局から10月19日開幕の日米共同統合演習「キーン・ソード27」の実施通知を受けた嘉数登市長は2日、コメントを発表した。台湾海峡周辺の緊迫化など南西諸島を取り巻く厳しい安全保障環境に触れ、「日米同盟の抑止力・対処力を強化する共同演習の必要性は、平和維持の観点から理解せざるを得ない」との見解を表明。一方で市民への影響や不安に配慮し、国に対して厳格な安全管理や丁寧な情報発信を強く求めたことを明らかにした。

嘉数市長はコメントの中で「周辺諸国の軍事力強化などで本市を取り巻く状況は一段と厳しさを増している」と指摘し演習の必要性に理解を示す一方、「大規模な実動演習であることから、市民の中に強い懸念や不安を感じる方がいらっしゃることも承知している」と強調。市は国側に対し、市民生活や経済活動に影響を及ぼさない安全管理の徹底、騒音等への影響緩和、訓練の目的や安全性に関する丁寧な説明を行うよう申し入れを実施するとのこと。
市民の不安を軽減するため、より詳細で透明性のある情報を適時提供するよう強く要請したことを説明した。
コメント全文
R8.10.2
宮古島市長コメント
(令和8年度日米共同統合演習(KS27)について)
本日、沖縄防衛局より、令和8年度日米共同統合演習(キーン・ソード27)の実施について通知を受けました。
宮古島市での訓練は、令和8年10月19日(月)~29日(木)の期間で実施し、日米の共同調整所の運営訓練、部隊や装備品の展開訓練、船舶による輸送訓練などを実施する予定とのことです。
また、訓練に参加する人員や装備品等を航空機および船舶で輸送するため、宮古空港と平良港を使用するとの説明を受けております。
周辺諸国の軍事力強化や台湾海峡周辺での緊張が高まる中、本市を含む南西諸島を取り巻く安全保障環境は一段と厳しさを増しており、日米同盟の抑止力・対処力を強化するための共同演習の必要性については、平和を維持するという観点からも理解をせざるを得ないと考えております。
一方、大規模な実動演習であることから、市民の皆様の中には強い懸念や不安を感じる方もいらっしゃることと承知しております。
国に対しては、市民生活や経済活動等に影響が及ぶことがないよう、安全管理の徹底、騒音等の影響緩和、訓練の目的や安全性に関する丁寧な情報発信を行うよう、申し入れを行うとともに、訓練にあたっては、市民の不安軽減のため、より詳細な透明性のある情報を提供するよう強く求めました。



