#8 沖縄の先住民族認定で主張激突 国連会合 日本政府、「国民であり該当せず」と明言 過去最も明確な立場表明
【ジュネーブ】7月中旬にジュネーブで開催された、国連の「「第19回先住民族の権利に関する専門家機構(EMRIP)」で、沖縄を巡る議論が例年にない激しさを見せた。沖縄・琉球問題に関する発言が12件相次ぎ、先住民族認定に反対する沖縄県内の地方議員らと、琉球民族としての自己決定権や権利を主張する団体が真正面から対立。日本政府代表は声明で「沖縄の人々は他のすべての国民と等しく日本国民であり、先住民族とは考えていない」と述べ、従来の国連会議と比較しても過去最も明確な形で沖縄の先住民族性を否定した。
本紙では、沖縄県民のアイデンティティや存在を揺るがしかねない同問題と、地球の裏側であるジュネーブの国連本部で繰り広げられる地方議員団らの活動の様子をシリーズで多角的に報告していく。今回は第8弾。
日本政府は研究草案について、「沖縄県は独自の豊かな文化と伝統を有している」とした上で、「沖縄に生まれた人々を先住民族、あるいは先住民族集団の一部とは考えておらず、日本国内でもそのような認識は広く受け入れられていない」と明言。権利がいかなる区別もなく完全に保障されている旨を説明し、研究草案に客観的かつ正確な事実を反映するよう求めた。
さらに、県内複数の地方議会で先住民族認定への抗議決議が採択されている事実に言及したほか、米軍基地に起因するPFAS問題についても科学的知見に基づく日米間の対応を進めていると説明。国連の研究草案に対して具体的な修正を求めたことは、これまで以上に踏み込んだ姿勢として注目された。
これに対し、会場では真っ向から反論する発言も相次いだ。琉球民族独立総合研究学会(ACSILs)などの団体は、政府が示した立場や歴史認識を「捏造されたナラティブ」と批判。沖縄の人々を先住民族として研究草案に明記するよう求めたほか、辺野古新基地建設、PFAS汚染、自己決定権、東アジアの軍事的緊張などを先住民族の権利問題として位置付けるべきだと訴えた。
一方、沖縄県内の地方議員らも独自に政府の立場を裏付ける発言を展開。糸満市議や石垣市議らは「沖縄県民の大多数は自らを先住民族とは認識していない」と強調し、国連文書の代表性に疑義を呈した。研究草案から先住民族認定やPFAS問題に関する記述の削除・修正を要求するとともに、地方自治体や地域住民への直接的なファクトファインディング(事実確認)を行うよう国連に求めた。
今回のEMRIP19では、文言の修正要求にとどまらず、「沖縄は日本国民であり先住民族ではない」とする立場と、「琉球民族としての自己決定権を認めるべきだ」とする立場が公式の場で全面的に衝突する構図となった。
沖縄問題がEMRIP全体でも大きな焦眉の的となる中、日本政府が自国の立場を国際社会へこれまで以上に明快に示した会合となった。 (ジュネーブ特派員 吉岡綾子)



