【投稿】環境衛生局の地下水・水道水の農薬濃度分析は十分なのか 宮古島地下水研究会 友利 直樹(医師)
市が2月21日のシンポジウムで示した地下水13水源と水道水3か所の高精度水質検査では、ネオニコチノイド系農薬を含む8種類の測定結果が網羅的に記載されていました。しかし、資料には、具体的な分析結果の記載がなく、梶原環境衛生局長が「クロチアニジンとジノテフランは検出されているが変化はない」と口頭で述べただけでした。
ところが、この説明には重大な問題があります。市が比較対象としたのは2024~2025年の2年間のみで、市自身が2022年に測定したデータとの比較が行われていません。また、地下水研究会が2022年6月から1年間実施した高精度モニタリングでは、水道水からクロチアニジン(商品名ダントツ)とジノテフラン(商品名スタークル)が一年を通して検出されており、市の説明はこの事実を無視しています。
市と地下水研究会のデータを合わせて分析すると、クロチアニジンの水道水中濃度は2022年から2026年まで階段状に増加し、3年間で約2.5倍に達しています。特に加治道浄水系では2.8倍に増え、2026年2月には190ng/Lと、EU飲料水基準(100ng/L)を大きく上回りました。局長の「変化なし」という説明は、明らかに実態と異なります。
クロチアニジンが有効成分のダントツは、年間15トンと大量に使用されており、水溶性で地下水に浸透し蓄積しやすい性質があります。水源地下水の濃度が上がれば、最終的に私たちが毎日飲む水道水の濃度も上昇する可能性が高く、特に子どもへの健康影響が懸念されます。
さらに、年間40~50トンと多量に供給されているフィプロニルが有効成分のプリンスベイトにも、注意が必要です。動物実験で甲状腺腫瘍が確認され、米国EPAでは「発がん性の可能性あり」と分類されています。市の資料では、東添道水源で2024年5月に87ng/Lと急増していました。国の水道水質管理目標値(500ng/L未満)の17%に相当し、「一過性」と片付けるには高すぎる値です。市には原因究明と説明責任があります。
子どもたちの健康を守るためには、問題の農薬を除去できる高機能活性炭などを用いた高度浄水処理施設の導入が急務です。農薬の使用量がすぐに減らない以上、水道水の安全を確保するための設備投資は避けて通れません。
市民が安心して水を飲める環境を守るためにも、検査結果と分析の丁寧な公表と、科学的根拠に基づく対策の強化を強く求めます。
宮古島地下水研究会 友利 直樹(医師)


