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政府、法人の実質的支配者届け出義務化の方針 トクリュウ解明につなげる意向

政府が、法人の実質的支配者(BO)情報の届け出を義務付ける新法を制定する方針を固めた。義務付けは、マネーロンダリング対策や経済安全保障強化が目的だ。今年秋の臨時国会に法案を提出する予定となっている。

BOは、法人の意思決定を実質的に支配できる個人や団体を指す。株式会社であれば50%を超える株を保有する個人、該当者がいない場合は25%以上の保有者、これもいない場合は事業活動に支配的な影響を持つ個人、それもいない場合は代表取締役がその立場になる。社団法人の場合も、事業活動に支配的な影響力がある個人、いない場合は代表理事が該当者となる。

新法では、非上場を含むすべての法人にBO情報の、法務局などの公的機関に届け出を義務付ける。捜査当局や関係省庁がBO情報を確認できるようにすることが目的だ。

法整備によりBOの情報から匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の実態解明につなげる意向。外国人の土地所有状況の把握や経済制裁の対象者が法人の背後にいるか確認することも想定している。

イギリスやドイツなどG7各国は、法人に対しBOの名簿を作成し、政府機関に登録することを義務付けている。日米欧の金融・警察当局などで構成される「金融活動作業部会(FATF)」は2021年の対日審査で、法人の悪用防止などに関する法整備の遅れを指摘し、BO対策を勧告した。

日本は2028年に、次のFATF審査を控えており、審査で評価が低下すると日本の金融機関の信用も落ちる。そうなると、取引が冷え込むことが予想される。日本は早期に法整備を進め、法人の違法利用を防ぎたい考えだ。

実質的支配者リスト制度では義務付けせず

日本は2022年1月に、実質的支配者リスト制度を創設し運用している。同制度は、株式会社や有限会社からの申し出により、商業登記所の登記官が企業作成のリストを確認・保管し、登記官の認証文付き写しの交付を行うもの。ただ、義務付けはされていない。

同制度は、BOの情報を公的機関が把握・管理することで、犯罪組織による法人の隠れみのとして利用することを見抜いたり、マネーロンダリングの阻止を目的としている。

マネーロンダリングは追跡を困難にするために、数カ国・地域の金融機関や企業を経由させることがある。マネーロンダリングを防ぐために、企業のBOを把握するのは重要だ。トクリュウの幹部も海外で摘発されることが多いため、追跡や解明の一手となるよう期待したい。

文/並河悟志 内外タイムス編集部

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