ホルムズ海峡の通航の安全確保は日本自身の問題 德地秀士

ホルムズ海峡の通航の安全確保は日本自身の問題 德地秀士
米国はイスラエルとともにイランに対する攻撃を継続している。この事態がすぐに終結するとは思えない。今回の米国の武力行使は日本に様々な課題を提起しているが、ここでは米国との関係及び海上交通の安全確保の問題を論じてみたい。
まず、米国との関係。米国には、イランの核開発やテロ組織の支援を阻止する狙いがあった。イランのこうした活動を是認することはできないが、だからといって国際社会のお墨付きもなく武力行使を行えば、その正当性に大きな疑問符が付く。そんな米国と同盟を結んでいてよいのかという議論も出てくる。
次に、海上交通の安全確保に関しては、日本の原油輸入の95%以上は中東からである。その殆どはホルムズ海峡を通る。タンカーが通航できる水域は限られるから、海峡封鎖による日本への影響は深刻である。
先の日米首脳会談で、トランプ大統領はホルムズ海峡の安全確保について日本の役割強化に対する期待を示し、高市首相は、日本の法律の範囲内でできることとできないことがある旨述べたという。その後トランプは、日本は助けてくれなかったと不満を示した。
このため、米国の作戦を支援するか否かという問題と、ホルムズ海峡の通航の安全確保のために日本、特に自衛隊が何をすべきかという問題が同時に論じられるが、整理して考える必要がある。
まず、国際的に正当性を欠く武力行使を支援することはできない。それは、憲法上集団的自衛権の行使に制約があるからではない。国際法上許されないのである。また、集団的自衛権の行使とは、侵略を受けている外国を守ることであるが、米国は侵略を受けているのではない。
これに対し、ホルムズ海峡における日本関係船舶の安全の確保は、日本国民の生存のために必要なことであり、自分自身の問題である。無論、軍事的ハードルは高い。相手はイランの軍隊であり、機雷だけでなくミサイルやドローンの脅威もある。掃海艇だけでなく大規模な部隊派遣が必要となる。また、国際連携も不可欠であり、日本単独では無理である。他に軍を出す国もない中で日本だけ出るという選択肢はない。
しかし、ホルムズ海峡で日本関係船舶が攻撃されても日本に対する武力攻撃には当たらないから自衛隊を派遣して守ることはできないというなら、それは変だろう。例えば、NATO諸国が自国タンカーなどを守るために軍隊を派遣したとすれば、その国は自国船を守るための自衛権行使だと言うだろう。日本はそれができないのなら、それは国内法上の要件である「武力攻撃」の敷居が高すぎるからだ。武力の行使には慎重であるべきだが、国民生活を守れないような制度は国際標準に合わせて改めるべきである。


