宮古上布保持団体、伝承者講習閉・開講式

 宮古上布保持団体(新里玲子代表)の伝承者養成講習2021年度閉講式と22年度開講式が27日、市役所3階会議室で行われ、重要無形文化財の技術習得と継承に向けて決意を新たにしていた。21年度は図案・手括り講習で1人が修了し、22年度は継続4人、新規2人が受講する。

 新里代表は「伝承者養成講習を行う中でいろんな課題が見えてきた。これまでは伝統の技術をつなぐ目標に向かってまい進してきたが、身に付けた技が生かせない厳しい現状がある。だがそこで立ち止まることなく、頑張れば何とか上布を織れる環境はつないでいけると思う。上布の技を未来につなぎ織物を活性化させたい」とあいさつ。21年度修了生の松尾由樹さんに修了証を授与した。
 松尾さんは「先生の下地達雄さんから高い技術を学べたことに感謝したい」と感想を述べた。前年度まで同団体事務局も担当しながら受講し、今年度は織りの講習を受ける。「先生から教わった技術を自分のものにするため精進したい。すごく難しい柄を作る良い機会も得られた。織りは大変だが頑張りたい」と意欲を見せていた。
 市教育委員会生涯学習振興課の梶原健次課長が「地域の伝承技術を後世に長く伝えていくためには、技術の高みを目指すとともに裾野を広げることも重要」、図案・手括り講師の下地さんが「織物は何回も同じことを繰り返して技術を磨いていく。技術を継承するという気持ちをしっかりと持って頑張ってほしい」とそれぞれ激励した。
 21年度講習は3部門5人が受講し、新型コロナの感染状況に応じて在宅講習も行われたが年間通して継続した。織り講習で使用する苧麻糸、染め講習の藍で質の良い教材の確保を課題に上げている。

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