カチャーシでにぎわった長浜御嶽 =伊良部南区

五穀豊穣、無病息災願う 伊良部南区でユークイ

 伊良部南区の長浜、仲地の各御嶽で17日、伝統祭祀(さいし)の豊年祭「ユークイ」が行われた。住民をはじめ出身者が島外や県外から里帰りをするなど、多くの参加者が訪れそれぞれの御嶽ではお供え物を奉納。ツカサンマは向こう1年の集落の五穀豊穣や無病息災、家庭円満などを願い、参加者らとユウ(福)を分かち合った。

五穀豊穣と無病息災を願う仲地御嶽


 長浜御嶽では、前日夜から豊年祈願の御願(ウガン)が行われており、住民らが集まり、御嶽にお供え物を奉納し、各家庭の無病息災を願った。また、余興なども行われ親睦を深めた。最後には「ユンティル(幸せが満ちる)」のかけ声とともに祈願を終え、拝み所から出てきたツカサンマらが奉納されたあめ玉などのお菓子を配り、参加者らにユウを分け与えた。
 この日は午前8時前から豊年祭が始まった。謝花英一長浜区長が祝詞を読み上げ奉納し、3人のツカサンマが「豊年の歌」を踊った。そのほか老人会など各クラブの催しものが舞台で披露され、御嶽内は盛大なにぎわいを見せた。
 仲地御嶽では、前日の祝宴はせず、この日午前8時からツカサンマ、ツカサシューが元々ブンミャア(はた織り場)であった仲地公民館でウガンをし、御嶽で奉納、祈願を行った。訪れた住民らが一人ひとりツカサンマとともに座して祈願。その後、ツカサンマによるユンティルが行われた。他部落のユンティルとは違い、歌い踊り感謝し、参加者にユウを分け与える。
 仲地のユークイでは正午ごろになるとツカサンマ、ツカサシューを中心に輪となり、祭祀でのみ使用される大小の器(ウプザラ、ツノザラ)に神酒(ミキ)を入れ、回し飲む。その後、ツカサシューがユークイの歌を歌い上げ、同様に先祖に感謝し、五穀豊穣、無病息災などを願った。
 仲地部落は伊良部部落を親、同部落を子とし、以前は伊良部部落を中心にそれぞれの御嶽や井戸数カ所を1日かけて奉納、祈願をしていた。現在、伊良部部落のツカサンマが途絶えたことで伝統通りのユークイは仲地部落のみで執り行われているという。
 ツカサシューは3年務め、次の人に引き継ぐ。ことし初めてツカサシューとしてユークイを務め上げた男性は見事に歌い上げ、安堵した様子だった。

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