展示された苧麻糸手績み伝承者養成講習の研修生たちの作品=市歴史文化資料館 =市歴史文化資料館

苧麻糸績み保存会 伝承者養成の成果展示

 宮古苧麻績み保存会(漢那明美会長)の第12回苧麻糸展示会が26日、市歴史文化資料館(旧砂川中)で始まった。2021年度の伝承者養成講習は新型コロナ感染拡大のため休講が続いたが、研修生が自宅で取り組んできた糸績みの成果を展示した。また功労者として多良間村で講師を務めた豊島トシさん(83)を表彰した。来年度は績み手の継続と技術向上を重視した講習を見直していく。展示会は27日も午前10時~午後4時で開催している。

功労者として表彰された豊島さん(左)と漢那会長

 今年度の苧麻績み伝承者養成講習は宮古島市と多良間村で19教室を開設して80人が受講したが、緊急事態宣言などで休講と再開の繰り返しとなり、自宅研修が行われてきた。このため展示会には完成していない作品もあったが、会場を訪れた研修生は他教室の糸や熟練技術者の模範作品に見入っていた。
 漢那会長は「コロナ禍でなかなか教室が開けず自宅研修となる中で素晴らしい成果だと思う。展示会も危ぶまれていたので開催できてうれしい」と述べ、講習の今後について「苧麻糸をもっと増やしてほしいとの要望が多いが、今は講習修了後の継続が難しい。宮古上布になる糸のため技術向上と継続につながることを目指したい」と話した。
 来年度の講習では継続と定着、苧麻糸の安定供給に向け、初級2年目から基礎と5ヨミ製作を目指すコース、中級では撚り掛けなどの専門コースを設けて選択肢を広げ、さらに中級修了者で理事会が選んだ講師候補者を対象にした上級を新設する予定。
 豊島さんは03年に苧麻績みの講師となり、自らの畑を提供して苧麻の植え付け作業から糸績み全工程の指導に尽力した。漢那会長は「豊島さんの力なくして多良間での保存会活動はあり得なかった」と感謝。豊島さんは「多良間でも年配の人がいた頃は苧麻績みの最盛期だった。今はお年寄りも少なくなったが若い皆さんが継承して頑張っている。今後も指導、支援をお願いしたい」と話した。

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