国営かんがい排水事業「宮古伊良部地区」で工事が行われた仲原地下ダム現場 (城辺仲原)

保良地下ダム着工へ、国営かん排事業

 国営かんがい排水事業「宮古伊良部地区」の2022年度当初予算の事業費が39億円となり、21年度補正分2億円を含めて41億円規模で実施されることが26日、分かった。地下ダムは仲原が23年度締め切りに向けて引き続き止水壁建設工事を進めるほか、計画している保良(2050㍍)に着工する予定だ。

 21年度末(22年3月)の進ちょく状況は総事業費523億円に対して77%(約404億円)。このうち仲原地下ダムは延長2350㍍のうち84%(約1967㍍)、用水路は55㌔のうち77%(約42・5㌔)が完了している。全ての事業完成は28年度を見込む。
 地下ダム以外は、これまでに宮古島の宮古吐水槽、伊良部導水路建設、伊良部大橋への管路埋設、伊良部島の牧山ファームポンド建設などの工事が進められ、21年8月には伊良部島の県営ほ場整備「魚口地区」で散水が開始されるなど、事業効果が発現しはじめている。

市長に概要説明する當銘所長ら(市役所応接室)


 沖縄総合事務局宮古伊良部農業水利事業所の當銘俊明所長が同日、市役所に座喜味一幸市長を訪ね、概要を説明した。山下航調査設計課長、設計第1係の村田尚也氏が同行した。市側は砂川朗農林水産部長らが同席した。
 當銘所長らは、22年度も引き続き地元関係機関と協力し、事業の残り区間の確実な実施とともに、関連事業推進による通年の「水あり農業」実現に努めることを強調した。また、事業効果発現に向けて農家に周知を図る考えを示した。
 座喜味市長は、国直轄事業の進ちょく状況を評価する一方、伊良部島で前年度に一部散水がはじまったことを示し、畑地かんがい、ほ場など末端整備が遅れている状況を指摘し「水なし農業から脱却するには、関連事業が遅い。面整備のために地元の同意を早める必要がある」と述べ、地元と県、市が協議を進める必要性を強調するとともに、国の支援を求めた。

関連記事一覧