第5回宮古島文学賞 入賞3作品が決定

 宮古島市文化協会(饒平名和枝会長)は4日、第5回宮古島文学賞で一席に会社員の馬場広大さんの「山の女」=宮崎県、二席に自営業の仲間望さんの「夜行島」=北海道、佳作に会社経営の鳥光宏さんの「銀游回帰『スクが来た!』」=千葉県=が入賞したと発表した。仲間さんは2年連続の二席。今回も「島」をテーマに、全国19都道府県から79点の作品応募があった。2回の選考で8点に絞り、3日に未来創造センターで行われた最終選考で決定した。

 選考は新型コロナウイルス感染防止のため、委員長で作家の椎名誠氏(東京)、委員の詩人で作家の大城貞俊氏(沖縄本島)、児童文学作家のもりおみづき氏(宮古)をリモートで結んで同センターで実施した。
 同協会によると、委員からは「揺るぎない文学性を持った描写力に優れた作品」や「共感が持てる上質な感慨を持つ作品」、「生と死を見つめる神話の世界の構築した作品」などの感想や、「素晴らしい作品に出会えてうれしく思う」との意見があった。
 饒平名会長は入賞作品について、「一人の女性の力強く生きる姿、自然が織りなす情景の豊かさや美しさ、島を追求し思考を深めた新鮮な作品、命の回帰がテーマとなった作品がよどみのない文章でまとめられている」と感想を寄せた。
 また、入賞以外の応募作品には島に伝わる史実をモチーフに独自の視点から掘り起こし、時代を反映する近未来的な世界、島の持つエネルギーに触れ生きることを問い直す内容など「魅力あふれる作品が多くあった」と評価。宮古の高校生で青嶋純のペンネームで応募した作品「叫び」が1次選考通過の20作品に選ばれたことに「若い世代の挑戦を心からたたえたい」と、今後の活躍に期待した。
 5回の節目を迎えたことに饒平名会長は、「島を切り口に多種多様な物語が紡がれるなど、特徴ある地方文学賞として一つの文学の力を刻みつつあると感じる」と述べ、今後の文学賞運営に努めるとした。
 一席の馬場さんには賞金50万円、二席の仲間さんには10万円、佳作の鳥光さんには賞状、3人に記念品が贈られる。作品は協会ホームページに掲載予定。授賞式および祝賀会は昨年に続き、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、中止となった。

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