5年で日本も「AI革命」か 若者のAI失業が始まりSE・プログラマも稼げない職業に
アメリカの若者の間でAIの影響による失業や就職難が広がっている。5月、アメリカ企業の人員削減数9万7006人(前月比16%増)のうち、AIを理由とした人員削減は3万8579人と、約4割を占めている。
中でも大卒の若者、つまりホワイトカラーのエントリー層が直撃を受けている。その背景には、いくつかの構造的な要因がある。まず、ジュニアタスク(最初の仕事)の消滅だ。
企業は入社した新卒や若手に任せていた仕事は、データ入力、議事録の作成、リサーチ、コードのバグチェックなどの簡単な下積み仕事だった。しかし、これらの業務は生成AIがもっとも得意とする領域だ。企業側からすれば、高い給料を払って未経験の若者を育てるより、AIを使ってシニア社員の生産性を上げた方が早いし安いという判断になる。エントリーレベルの若者向け求人そのものが激減している。
生成AI・ChatGPTが普及し始めた2022年10月頃から「AIインテグレーター」と呼ばれる職種の人たちが企業の中で、AIでできる仕事とできない仕事を振り分け、今の流れとなった。
次に、数年前まで「勝ち組」の代名詞だったIT・プログラミング分野の学生も就活で苦戦しているのが特徴だ。理由は、AIが自動でコードを書けるようになったからだ。若手のソフトウェアエンジニアの需要が急減し、長期失業率が高学歴層で上昇するという事態が起きている。
単に「今ある仕事が奪われた」ということでなく、若者が実務を通じてスキルを磨き、一人前のプロフェッショナルへ成長するための足がかりであるキャリアの第1歩がなくなりつつある。
アメリカで起きている事象は、数年後の日本でも起きるのが常だ。足元の日本経済を見れば、まだまだ人手不足の方が深刻なので、すぐには表面化しないものの、金融系は採用減にかじを切り始めている。
アジアで広がる雇用減少の波
例えば、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は講演等で、生成AIなどの登場を「今世紀最大の社会変革がこれから5年間に起こるAI革命」と位置付けている。そのうえで人事部には「よほど優秀な人材でなければ採用しないように」という絶対命令を出し、人員の大幅削減を進めている。
北尾氏の予測通りならば、2031年には日本もSEやプログラマーが失業する時代になるということだ。日本は業務のIT化もソフトウェア人材の内製化も遅れているので、その部分を差し引いて考えると、ITエンジニアは失業しないまでも、これまでのように稼げる職業でなくなるのは間違いない。
アジアにもAIの影響と雇用減少の波が広がっている。テレビ朝日系「モーニングショー」によれば、香港では大卒者への求人数が減少し、2022年は約8万人だったが2025年は約3万1000人となった。実に約6割減である。
シンガポールでは今年1~3月にさまざまな業界の民間企業2560社を対象に調査したところ、約160社がAI導入で従業員数を減らしたと回答した。
今起きているAI革命のインパクトがどのくらいなのか、誰にもわからない。18世紀後半の産業革命に匹敵するものか、2000年前後のIT革命レベルなのか。日本は社会のあり方を今から考えておく必要がある。
文/横山渉 内外タイムス


