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泥酔キャバ嬢と不同意性交の63歳男性、判決公判で見せた変わり果てた姿【裁判傍聴記・後編】

被害女性Aさん(26歳)は勤務先のキャバクラで飲酒して、記憶がなくなった。

F被告(63歳)は、自宅マンション前でうずくまっていたAさんに声をかけた。落とした部屋の鍵を拾ってあげて、その後一緒に部屋へ。着衣を脱がして、性的行為をした。

朝になって、Aさんと同棲中の婚約者が帰宅。「知らない男がいる」と110番通報した。

泥酔したキャバ嬢宅に上がり込み介抱の末に性行為した63歳男性、朝帰りの同棲相手と鉢合わせ【裁判傍聴記・前編】

F被告は生活保護を受けながら、フードデリバリーの仕事をしていた。

窃盗罪、常習窃盗罪などで前科4犯。2016年には常習窃盗罪で1年10カ月の懲役も。過去には親族の家に勝手に入り、住居侵入で逮捕されたこともある。

部屋の鍵を開けたので「受け入れてくれたんだなと思った」

被告人質問が始まった。

「コンビニの近くでAさんに『大丈夫ですか?』と声をかけると『大丈夫です』と。しばらくして、マンションの階段の前で倒れていた。一度離れてから、心配して引き返すと横たわったまま。携帯電話が落ちていたので、拾って渡した。そこで40分くらい話しました。

『買い物がしたい』と言われて、一緒にコンビニへ。たこ焼きを購入しようとしたが、買えなかった。彼女のポシェットには、財布もスマホもなかったので。

再びマンションに戻りました。オートロックの鍵を開けてあげたとき会釈されたので、入っていいのかなと。部屋のドアの前で、Aさんから軽く「どうぞ」と言われて、左手で「どうぞ」という仕草があったので、後ろからついて行きました。

部屋の中でワンピースの肩を外して脱がせた。断る様子はありませんでした。ブラジャーを脱がせてベッドに並んで座った。両手で胸を触り、胸をなめた。シャツとズボンを脱いで覆いかぶさった。Aさんは嫌がってなく、起きていた。言葉はありませんでした。

検察官が被告人に質問する。

――性行為をしたいと思ってましたか。

「友だちになりたいと。LINEのIDを聞いたが適当な返事。相手にされてないんだなと。彼女が自分で部屋の鍵を開けた。受け入れてくれたんだな、と思った」

――Aさんの判断能力が低下していたと分かったんじゃないですか? 

「だんだん回復傾向にあるのかなと」

――供述では「相手の陰部に指を入れたことは間違いない。性行為をしようと考えたが、勃起しなかった。Aさんをがっかりさせたくないと思い、左手中指を入れて抜き差ししました」と。

「違うんですけど、長時間の取り調べで認めちゃったんです。陰部を軽く触ったけど、指は挿入していない。そのまま寝てしまいました」

――「立たなくてごめんね」と言ったことは?

「それは言ってません」

――Aさんはそのとき生理だったのに、何も言わなかったんですか? 

「はい」

刑法改正を知って、供述を変えた可能性も

2023年6月、刑法が改正されて、手指の挿入行為を性交と同じ扱いとすることになった。この事件の11カ月前のこと。F被告は刑法改正を知って、供述を変えた可能性がある。

また被害者が泥酔していて、性行為に同意しない意思を表すことが不可能、もしくは著しく困難な「抗拒不能」状態では、不同意性交罪が成立する。

弁護側は「同意できる能力があった。もしくは被告人は同意があると誤認していた」と主張。

「マンションの玄関で散乱していたAさんの荷物を拾って渡した。エントランスで40分近く話し、Aさんの希望で一緒にコンビニにも行った。Aさんが鍵を落として、F被告が拾った。部屋の前で、F被告は『どうぞ』という声を聞いた。そして婚約者に隠すため、合意したことを隠している可能性がある」と。

数カ所の防犯カメラに、2人の様子が撮影されていた。

マンションのエントランスでうつぶせに倒れている被害者。2人でコンビニにいる様子。被告人が肩を抱いて歩いている様子。Aさんは散乱した荷物を片付けることができず、オートロックのドアも開けられないほど酔っていた。

胆管がんのため車いすで入廷

2026年5月19日、判決の日――。

被告人の姿は、別人と見間違うほど変わり果てていた。

車いす姿で極端にやせている。ほほがこけて、顔は浅黒い。あきらかに体調が悪そうだ。冒頭、弁護士から、被告人が胆管がんで外科手術が困難な状態との説明があった。

判決は懲役3年。

「被害者は26歳。被告人は胸をなめて、陰部を触り、陰茎を押し当てた。勃起しなくて性交はできなかったが、手指を挿入した。

被害者はまったく記憶がなく、未遂か既遂か分からないので検査を行った。被告人の唾液のDNAが検出された。

被告人は同意があった、手指を挿入していないと証言。弁護人は婚約者に隠すため、合意したことを隠している可能性があると主張した。

被害者は勤務先で飲み過ぎて、自宅近くで頭から倒れる。財布やスマホなどが入った荷物が散乱しても集めず、4分かけて10段の階段を上るほど。まともに歩けず、オートロックを解除することもできなかった。泥酔していて、同意する意思を形成することが困難な状態だった」

F被告は車いすに乗り、後ろから押されて退廷した。

顔はずっとうなだれたままで、表情はよくわからなかった。

しかし、その後ろ姿はとても小さく感じられた――。

文/青山泰 内外タイムス

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