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富山国際大学ボート部で強化選手2名によるいじめ 軽微な処分は助成金目当ての優遇が理由か 大学は事実を公表せず

「2人の姿を想像すると喉が締め付けられてうまく話せなくなり、思考がぼーっとして何も考えられなくなります」

野球部の不祥事で注目を集める龍谷大学「全寮制廃止」は歴史的にも重い処置

富山国際大学のボート部内で、同級生部員らによる凄惨(せいさん)ないじめや人権侵害が常態化していたことが2日までに明らかになった。被害を受けた3年生男子部員(以後Aさんと呼ぶ)はうつ病、パニック症候群、PTSDを発症し、現在も苦しんでいる。近く復帰を目指していたボート部も退部し、学校も退学するという。

Aさんがボート部に入部したのは2024年4月。高校時代からボートを始め、県大会で優勝、インターハイにも出場し、推薦で富山国際大学に入学した。決して、飛び抜けてボートの技術が優れているわけではなかったが、ボート自体を楽しんでいたAさんをいじめていたのは、同級生であり、強化選手であるB氏とC氏だ。

「はじめはうまくなじめているつもりでした。同じ寮に入っていたのですが、夏ごろから、食事の準備などで些細(ささい)なミスをしたときにB氏とC氏が不機嫌になることがありました。技術的に2人より劣っていることもあって、指導してくださいと言っていたこともあり、指導の延長線上ととらえていたのですが、だんだんと関係のないことで叱責(叱責)されるようになり、僕に対する怒りの沸点も低くなっていったんです。それからというもの、B氏からは『腐った脳みそで考えろ』『殴りたい』『社会的責任を取れ』『働かざるもの食うべからず』などと罵倒され、屈辱的な対応を余儀なくされました」

Aさんは、謝罪をしても許してもらえず、数日間、他の部員と一緒に食事をとらせてもらえなかった。そのせいで、数日間食事がとれなくなり、あらためて謝罪をしたいと申し出たものの「心が整っていない」「口をききたくない」と謝罪を拒否された。

「その後、仲間外れにされている状態がつらくて、他の部員もいる場でB氏に謝罪をしたんですが『黙れ!』と怒鳴られ後頭部を殴られました。かと思えば、なんで謝罪をしに来ないんだと言われることもあって、じゃあどうすれば許されるんだろうという理不尽のなかでだんだんと心を殺すようになっていきました」

全裸で土下座を強要、撮影し部員間のグループLINEで共有


Aさんはこのことを先輩に相談したが、部内に情報が共有されてB氏とC氏からなんで言ったんだ、周りに相談するなと責められた。それ以来、周りにも不信感が出て誰にも頼れないと思うようになっていった。

「C氏からは『お前はバカだから』『チームの恥』などといった人格否定的な罵倒を100回以上浴びせられ、ときには胸ぐらをつかまれたり、待ち受け画面に自分の欠点を表示させられたりしました」


Aさんは推薦で入学したこともあり、迷惑をかけてはいけない、また両親にも心配をかけたくないと、誰にも言わなかった。また、部内で情報が共有されていることもあり、監督にも言うことができなかった。そして、決定的な事件が起きる。

「2人から全裸で土下座するポーズをすることを命じられました。僕は従わざるを得ませんでした。臀部(でんぶ)が写った写真も撮られ、部員間のグループLINEで共有されました。いつ流出するかとずっと怖かったです」

B氏C氏による精神的追い込みはなおも続く。

「1年後の2025年には、C氏主導で、スマホの使用時間の報告が強制され部員全員から監視されました。『スマホ捨てれば?』とも言われました。それを他の部員や先輩がおかしいとも言わずに傍観していたのが辛かったです。また、今年に入って、富山でもニュースになるほどの大雪が降る中、B氏から部屋を出ていけと言われ、部屋着のまま追い出され、生命の危機を感じました」

これまで両親に心配させまいと相談しなかったAさんだが、限界を感じて、相談することにした。両親が事実を聞いて驚がくし、大学にハラスメント委員会の設置を要請する。

結果、大学は、ハラスメント委員会を設置し、B氏とC氏の加害行為を認定したものの、下された処分は「厳重注意」と反省文の作成、2026年4月から5月の2カ月間の活動停止という軽微なものにとどまった。被害者家族は、いじめの事実をボート部のインスタグラムで公表するよう求めたが、大学は無視し続けた。

いじめの改善よりも補助金目当てで部の強化を優先


この件について、ボート部の監督である寺下行麿氏に質問状を送った。以下の回答はその一部である。

質問:このような暴言・暴挙を繰り返す部員を、現在も部活動に継続参加させている具体的な理由をご教示ください。

回答:継続させる理由として、2人は富山県の国スポに関係する2人(強化選手)で強化する必要がありました。これは、ボート部全体に関係してくることであり、Aさんの活動においても非常に重要な部分となります。

何かというと、ボート部の普段の活動費、遠征費、備品購入費は、約60%が県の強化補助金からの補助となります。この強化補助金は、富山国際大学から富山県の国スポ選手を輩出することでつけてもらっています。この補助金がなければ、今のような良い環境は作れないのが実情であり、なければ非常に部全体が困ること、部員全員、部員の家庭にまで影響する事になります。そのような実情からB氏、C氏は反省をさせつつ、自分達が何をしていかなければならないか理解させて練習を継続させてきました。


Aさんは最後にこう話した。

「ボートが大好きなので、本当はボート部を辞めずにもっと続けたいという気持ちだったのですが、あの2人がいるとPTSDやパニックの症状が出てしまうため、続けられなくなってしまいました。先日までインカレをやっていましたけど、しんどくて見られなかったのも辛かったです。対人恐怖症になり、今は人の目を見るのもこわくなってしまい、退学せざるを得なくなりました。人生を大きく狂わされてしまったことがとても悔しいです」

富山国際大学に今回の件について、なぜ軽微な処分にとどまったのか、監督の指針についての見解、また、ガバナンス的観点と社会的責任において非公表を貫く理由について質問状を送ったところ、以下のような回答を得た。

「ご質問の件については、本学は、所定の手続きに基づき、事実調査を行い、この結果を踏まえ、被害者の代理人弁護士と大学の代理人弁護士との間で、交渉中であるところ、被害者代理人からの要求に対し、具体的な対応を行っており、かつ関係者の個人情報や、プライバシーへの配慮を最優先にしながら適切に対応し、必要な体制整備などハラスメント防止に向け取り組んでおりますので、貴殿への回答は控えさせていただきます」

また日本ローイング協会にもコンプライアンス上問題のある選手を大会に出場させることの現状認識について質問状を送ったところ、以下のような回答を得た。

「まず、当協会は、登録団体の個別事案について、調査または処分を行う権限および立場にはありません。また、当協会は、個々の選手に対して処分を行う立場になく、登録団体内で生じた事案については、当該団体およびその所属する法人(学校法人等)が、それぞれの責任において事実関係の確認および調査を行い、必要に応じて適切な対応を講じるべきものと認識しております」

文/神田桂一 内外タイムス

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