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美容医療に進む若手医師が急増、「医師の偏在」で日本の医療崩壊が進んでいる

Netflix配信「ダウンタイム」が大きな話題となり、美容整形に注目が集まっている。ただ、ドラマのヒットとは関係なく、ここ数年は美容外科に進む若手が急増し、医師の偏在が社会問題になっている。

厚生労働省の統計によると、美容外科医は2018年の678人から2024年には1720人になり、6年間で2.5倍に増えた。一般社団法人日本医学会連合が2023年12月に厚生労働省へ提出した要望書は、若手が十分な臨床修練を積まないまま、保険診療の外へ大量に流れ出していると警鐘を鳴らした。

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一人前の医師になるには、医学部卒業後に2年間の初期研修を終え、内科、外科、小児科、産婦人科などの専門研修へ進むのが一般的だった。しかし、初期研修後に後期研修や専門医資格取得に進まず、そのまま美容医療へ向かう医師が現れ、それらの若手は「直美(ちょくび)」と呼ばれる。

従来の医学界では、保険診療の専門医を取得した後に美容分野へ転向する流れが主流だった。2024年の1720人のうち1701人は病院ではなく診療所で働く。それは自由診療の美容医療クリニックだ。その若手医師らは、十分な経験を積まず、健康な人の顔や体に施術をしている。

「医師の偏在」という社会問題は、「地域間」と「診療科」という2つの側面で起きている。大都市圏(東京・大阪などの都市中心部)に病院はたくさんあるが、地方はずっと医師不足だ。

そして、外科、救急科、産科、小児科など、24時間体制や高いリスクを伴う「生命に直結する診療科」で担い手が減少している。とくに地域中核病院での医師不足が深刻化し、分娩休止や救急搬送の受け入れ困難につながっている。

「直美」でも年収1200万~2000万円

さて、美容クリニックの多くは大都市圏に集中している。若手医師が都市部の美容分野に流れ込むことで、医師少数地域(地方やへき地)への医師分散が不十分になり、地域間の医療格差が広がる。

2004年の新医師臨床研修制度導入以降、大学医局による医局員の強固な配置権限が弱まり、若手医師が自由にキャリアを選択しやすい環境になったのは基本的に歓迎すべきことだが、結果として外科や産科、小児科などの医師が減ったのは悩ましいところだ。そして、美容医療がこの問題に拍車をかけている。

なぜ若い医師たちは美容医療の世界にひかれるのか。まず、高収入で、「直美」でも年収は1200万~2000万円程度といわれる。保険診療の専攻医(後期研修医)は500万~800万円程度なので、2~3倍も稼げるというわけだ。そして、予約制メーンの美容クリニックは残業が少なく、ワークライフバランスの観点からも都合が良い。

美容医療に進む若手が増えたせいで外科や産科、小児科などの医師が減り、医療インフラ全体の持続可能性が危機に陥っている。医師免許という公的資格に基づく社会的責任と、個人のキャリア選択の自由のバランスをどう取るか。

文/横山渉 内外タイムス

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