愛知・名古屋アジア競技大会参加のタイ人選手に愛知県知事が問題発言 タイ国内で炎上後の意外な結末
「第20回愛知・名古屋アジア競技大会」が9月19日~10月4日の日程で開催された。その後10月6日に愛知県大村秀章知事が日本での記者会見で、タイのテックボール関係者が大会会場の食事についてSNSに投稿した動画について、「この人たちは何をしに来たのだろう」「再生回数を稼ぎに来たのか」「あまりこういう人は来てほしくなかった」という趣旨の発言をした。
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大会出場のために各国から選手が来日した際、宿泊施設への案内の不備、開催中の食事の問題が発生しており、特にタイ人選手ら関係者がSNSや動画に投稿し、少なくとも日タイ間で話題になっていた。
タイのメディア各社も大村知事の発言を記者会見と同日付で報道している。大手紙「カオソット」は「愛知県知事はこの問題をうやむやにするつもりはないようだ。閉会後の記者会見で、タイ代表の食料不足を訴える投稿で開催国に対する反発が高まっていることに不満を表明。大村知事はタイの選手たちには来てほしいとは思っておらず、彼らの行動はソーシャルメディアでの反応に動機づけられたものだと述べた」といった記事を掲載している。
開幕直前の9月17日、テックボール・タイ代表チームのコーチがSNSに動画投稿した昼食の様子がタイだけでなく、日本など各国で話題になってしまった。実際に他国からも不満の声があったものの、この動画が特に注目された。その後タイ代表関係者たちは各自のSNSで、以降はなんら食事などに問題はないと投稿したこともあって、タイ国内ではこの話題は収束しつつあった。
しかし、大会後に愛知県知事の発言で、タイ国内で再び注目されてしまう。特にタイでは2013年ごろから日本観光がブームで、今も人気渡航先ではトップにある。そのため、知事のタイ人を敬遠するような発言が気になった人も多いようだった。タイ人のSNSアカウント上では「食事はアスリートにとって非常に重要。こんな発言をするとは」「偉そうでごう慢だ。こんな人はタイにも来てほしくない」「日本人は自分たちの非を認めず、他人を責める」といった強い反応も散見された。
大村知事は釈明、タイ側も謝罪し……
ただ、記者会見の翌7日に大村知事はX(旧Twitter)で「タイ・チームに来てほしくなかったといったわけではない」と釈明。食事の不満の投稿があったことを知り、代表として日本に来てまで食事をクローズアップしてSNSにあげたことに「タイ代表団は何をしに日本に来たのか、とそのときに思っただけだった」といった記者会見での発言の意味あいが「タイ人に来てほしくない」と誤解されたと説明した。
この知事の釈明はすぐにタイでも報道された。タイ・テックボール協会のプリヤパット・チャランポン会長も10月8日にメディアに対し、「動画によって知事や関係者を不快にさせたのであれば謝罪します」といった趣旨を表明している。
問題となった動画をアップしたコーチもまた「大会組織への苦情を目的としたものではない」ことや「ちょっとした動画であって、こんなに話題になるとは思っていなかった」と反省している。その後、タイ代表団はこの大会で18の金メダルを獲得しており、金銀銅を合わせると国・地域別ランキングでは9番目(イランと同数)に多かった。「決して再生数稼ぎではなく、真摯(しんし)に取り組んだ」と会長も話している。
10月8日の報道以降、タイではこの問題のニュースはなく、ほぼ収束した。10月18日~24日には「愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会」が開催される。これに合わせて、11日からタイの代表団(選手265人・コーチなど147人の総勢412人)がタイ航空のチャーター便2便に分乗して名古屋に出発している。開催の18競技すべてにタイ人選手が参加する予定で、この出発はタイのメディア各社も報道。その中で大村知事の発言、食事問題などはいっさい取りあげられていなかった。
知事の発言直後の報道ではタイ側もやや非難めいた内容だったが、知事の釈明は詳しく報道もされ、タイ側当事者たちの謝罪もあって、現在は日タイ間に感情の摩擦はない。タイ人はスポーツに熱くなる傾向があり、たとえばタイ代表が強豪となる女子バレー(今大会・銅メダル)ではときに対戦国への感情が高ぶるときが見受けられる。今回は対日感情が悪化するような大きな問題に発展しなかったのはラッキーだった。
文/髙田胤臣 内外タイムス






