SNSで知り合ったネフレを巧妙にだまして金を巻き上げパチンコ…言い訳繰り返すギャンブル依存症男【裁判傍聴記】
令和8年9月16日、高知地方裁判所204号法廷に刑務官に連れられ入廷してきた男の罪状は有印公文書偽造、同行使、詐欺であった。
30歳過ぎほどに見える男は過去に窃盗等の前科を有しており、直近の令和2年4月に懲役1年執行猶予5年保護観察付の判決を含め、過去に二度、執行猶予付き判決を受けていた。
この裁判で審理された概要は令和7年6月に「Threads」で知り合った、いわゆる「ネフレ」に対し、病院の請求書、生活保護の打ち切りを知らせる文書を偽造作成し、被害者に送信し同情を誘い、現金を送金させた事件であった。
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Threadsで19歳男性と知り合い…
男は前刑で執行猶予判決を受け、両親の元で暮らし、スーパーに就職した。
就職し、1年が経った令和3年12月から再び一人暮らしを始める。そして一人暮らしを始めるやいなや、すぐに仕事を辞め、令和4年1月から生活保護を受ける。
男は高校生の時に双極性障害と診断され、成人してから通っていた神奈川県内の精神病院では、ADHD、ASD、PTSD、ギャンブル依存、解離性障害の診断を受ける。
過去に起こした事件の起因はすべてギャンブルにあった。毎日パチンコに通い、金が無くなると周りをだまし、金を借りる。前刑は金がどうにも回らなくなり、地元の先輩から金を盗んで起訴されている。
執行猶予付き判決後、半年も経たず男は再びギャンブルを始め、本件が起こる2年ほど前、金が無くなり知人に「家賃が払えない」とうそをつき130万円をだまし取る。しかし知人は「毎月3万円ずつ返してくれるなら」と刑事告訴しなかったため、刑事事件にはなっていない(返済せず)。
男は令和7年1月からスーパーでアルバイトを始めたが同年4月にすぐ辞めている。
再び、生活保護で生活を始めた男は令和7年4月26日に「Threads」で本件被害男性(19歳)と知り合い、LINEでやりとりを始める。被害男性も病気を抱えており、お互い共通の話題があったことで距離が縮まったのかもしれない。この時期、男は親戚、知人に借金をし、消費者金融での借金も限度額に達し、生活費すらどうにもならない状況に陥っていた。
そんな時、被害男性が日常会話の中で何気なく送ってきた一文に男の心は揺れた。
「過去に詐欺でだまされたことがあるんだよね」
病院の請求書を偽造して同情を買う
男の供述調書「当時、いろんな人をだまして金を借りていた。この子はだまされやすい性格だと思った。本人の病気のことは心配ではあったが、だます気持ちの方が強かった」
そのやりとりの後、男は被害男性に「ストレス性胃腸炎で入院した」「お金が必要」とうそをつく。
そして、被害男性を信じさせるため、神奈川県内の病院2件の請求書を偽造作成し、腕にチューブをした画像(過去のもの)を被害男性に送信する。
男を信じて心配した被害男性は男の要求通りに金を何度も送金した(計36万9千円)。だまし取った金を男は家賃、生活費、パチンコに使った。
そして同年6月27日、返済を求められた男は生活保護で返していくと被害男性に告げる。しかし、そんな気はさらさらない男は生活保護を打ち切られたとされる文書を偽造し、被害男性に送信する。
「生活保護もらえないってこと!?次はいつ申請できるの!?」
男に返済の意思がないのではないかと不安になった被害男性は刑事告訴を男にちらつかせる。すると男は言い放った。
「返す意思があるから犯罪にはならないよ」
そんな子どもだましが警察に通用するはずもなく、男はあっさりと逮捕される。
弁護側の被告人質問で男は「外に出たら治療を受ける為、病院に入院する」と言うも実際には「病院は探してはいない」と答え、弁護人からの「もうしないって言っているけど、前回と今回は何が違うのか?」との質問に対して「前刑までは深刻に考えていなかった」と述べる。
そして被告人質問は反対尋問に移る。
「弁済してほしいけど、関わりたくないのでお断りします」
検察官「さっき深刻に考えていなかったって言っていましたね?あなた逆に深刻に考えたことってあるんですか?」
被告人「…ないです」
検察官「さっきからギャンブル依存症って言っているけど、なんでやっちゃうんですか?」
被告人「イヤなことを忘れられるので…」
検察官「他に熱中できることを探そうとは思わないの?」
被告人「その時は考えられなかったです」
検察官「あなたさっき、ギャンブル依存の会に行くって言っていましたよね?こちらにその会の資料があるのですが、その中に重大三大ステップっていうのがあるんですけど今、答えられます?」
被告人「…読んだけど、あまり理解できていないです…」
検察官「それって深刻に考えているんですかね?」
被告人「考えています」
検察官「スーパーのバイトなんで辞めたの?」
被告人「解離性障害の病気で」
検察官「でも被害者とやりとり頻繁にしたり、文書偽造したりしてますよね?仕事できたんじゃない?なんでそれできて仕事できないの?」
被告人「…人と会うのがその時できなかったんで…」
検察官からの厳しい言及が続き、防戦一方の男は最後に、まだ若い左陪席裁判官からトドメを刺される。
左陪席「前刑から何もギャンブル対策していないですよねぇ?判決後、半年でやった時に何も思わなかったんですか?」
被告人「その時は思いませんでした」
左陪席「あなたにとって裁判ってどうでもいいってことですか?」
被告人「いえ、そんなことは」
左陪席「でも何も思わなかったんですよね?」
被告人「結果的には…」
左陪席「結果的ではなく、そうですよね?」
被告人「はい。そう思われてもしょうがないです」
左陪席「前回と同じこと言っていますよね?何が違うんですか?」
被告人「更生施設に行って…」
左陪席「前回も同じこと言っていますよね?」
被告人「でも今回はちゃんと更生施設に行って…」
左陪席「もうそればっかりなんでいいです。以上です」
検察は被告人の体調を心配した若年者をだました悪質な犯行。二度の執行猶予付き判決を受け、本件は執行猶予付き判決が解けてから、わずか2カ月での犯行。再犯可能性が高い、として拘禁刑2年を求刑した。
裁判前、被告人の謝罪の意を伝えようとした弁護人に被害男性はこう答えている。
「弁済してほしいですけど、もうあの人とは関わりたくないので、お断りします」
このどうしようもない男の判決は10月28日、高知地方裁判所で宣告される。
文/田辺朋之 内外タイムス






