「先住民族」勧告は民意と乖離 沖縄の地方議員、国連で撤回訴え 地域社会の声反映を強調
【ジュネーブ】国連の先住民族の権利に関する専門家メカニズム(EMRIP)の開催に合わせ、新しい歴史教科書を作る会はスイス・ジュネーブで「地政学と先住民族」をテーマにしたサイドイベントを開催した。沖縄県民を「先住民族」と位置付ける国連の議論に対し、現地から招かれた地方議員らが「民主的な民意と乖離している」として多角的な意見を提示した。本紙では、沖縄県民のアイデンティティや存在を揺るがしかねない同問題と、地球の裏側であるジュネーブの国連本部で繰り広げられる地方議員団らの活動の様子を、今後シリーズで多角的に報告していく。
サイドイベントの冒頭、司会者は「地域住民の意思が十分に反映されないまま議論が進んでいる」と問題を提起。地域社会の声に基づく対話の重要性を強調した。
基調講演では、元琉球王家当主・尚衞氏の顧問を務める弁護士の橋口玲氏が登壇。歴史資料や遺伝学、言語学の研究成果を挙げ、「沖縄県民は日本人であり、先住民族とは異なる」とする尚氏の見解を説明し、本土との連続性を主張した。
パネルセッションには沖縄県内の3市議が登壇。いずれも選挙で選ばれた地方議員としての立場を強調し、国連の議論において住民の民意が適切に反映されるべきであると主張した。
そのうち、豊見城市議の宜保安考氏は、同市議会が勧告の撤回を求める意見書を可決した経緯を紹介し、「一部団体やNGOの主張だけでなく、住民の負託を受けた地方議会の公式見解に耳を傾けてほしい」と訴えた。
石垣市議の友寄永三氏は、県内の「しまくとぅば(島言葉)」が地域ごとに多様であることに言及し、「一つの先住民族言語」として一律に教育へ導入することは現実的ではないと指摘。「画一的なレッテル貼りはかえって分断を招く」と述べ、地域の多様性を尊重した支援を求めた。
糸満市議の當銘孝史氏は、「沖縄先住民族論」と地域住民の意識には隔たりがあると主張。「非選挙組織であるNGOの意見が優先される現状は、国連の中立性への信頼を損なう」と指摘し、EMRIPに対し、直接沖縄を訪問して議会関係者と対話する「カントリー・エンゲージメント(国別関与)」の活用を提案した。
このほか、沖縄つきしろ教会(南城市)の牧師・砂川竜一氏が沖縄戦の歴史から沖縄と日本の一体性を強調。現役学生団体「右合の衆」は、デジタル時代における国際機関の情報検証や透明性の重要性を提言した。
主催者は閉会に際し、「地域社会の民主的意思こそ国際的な議論の基盤だ」と総括し、対話を継続する姿勢を示した。 (ジュネーブ特派員 吉岡綾子)



