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席移動する県議会議員ら =6日、県議会議場

9月県議会開会 古謝知事「所得2倍」目指す 新議長に島袋大氏 辺野古容認、3地域の知事室も明言

 沖縄県議会は6日、2026年第3回定例会を開会した。9月の知事選で初当選した古謝玄太知事が初の所信表明演説に臨み、「沖縄をまもる、ひらく、つなぐ」の3本柱を提げ、「手取りの倍増(所得500万円)」や「子育て支援の倍増」など基本方針を表明した。また、普天間飛行場の辺野古移設を「現実的な解決策」として容認を明言したほか、現場の声を政策に反映させる宮古・八重山・やんばる地域の「知事室」の設置などを打ち出し、県政発展へ決意を語った。新議長には島袋大氏(自民党無所属の会)が選出された。

第20代議長に就任し決意を語る島袋大議長(左)と感謝のあいさつを述べる中川京貴前議長

 所信表明で古謝知事は、10年以内に1人当たり県民所得500万円を目指す「手取り倍増」、4年で子育て予算を1000億円へ拡充する「子育て支援倍増」、8年で観光収入2兆円を目指す「観光消費倍増」の3目標を発表。具体策として「宮古知事室」や「やんばる知事室」の設置、消防防災ヘリ導入による離島緊急搬送体制の充実などを掲げた。
 今月3日に那覇市で発生した米海兵隊員による強盗殺人事件については「極めて悪質で断じて許されない」と強く抗議し、日米地位協定の見直しを含む抜本的対策を日米両政府に求める姿勢を強調。最大の懸案である普天間飛行場移設問題は、一刻も早い危険性除去のため「辺野古移設を容認する」と表明した。
 開会冒頭、前議長・中川京貴氏の辞職許可に伴う議長選挙が行われ、第20代議長に島袋氏(自民党無所属の会)を選出。「本土復帰から54年、先人が築いた沖縄を次世代へバトンをどうつなぐか政治家の覚悟が問われている。政治は結果であり、暮らしが良くなったと実感できる県議会をつくる」と抱負を述べた。
 議会には、知事選同日投開票の補欠選挙で当選した座波一氏(南城市)と高屋優氏(うるま市)の2氏=自民党無所属の会=も出席した。

古謝玄太沖縄県知事就任あいさつ 全文

3本柱を掲げ、県民所得向上に向けた決意を語る古謝玄太知事=6日、沖縄議会議場

就任のあいさつに先立ち、10月3日に那覇市内で発生した強盗殺人事件の被害者の方のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に対し、心から哀悼の意を表します。
当該事案については、10月4日に、米軍普天間飛行場所属の海兵隊上等兵の男が、強盗殺人容疑で緊急逮捕されております。
今回の事件は、殺人事件でかつ他人の財産を奪うという、極めて悪質で、県民に大きな不安を与える事件であり、断じて許せるものではなく、昨日、関係機関へ抗議・要請を行ったところであります。
県としては、米軍による捜査への全面的な協力、米軍人等の綱紀粛正及び再発防止の実施を強く求めます。また、このような悲惨な事件が二度と起きないよう、米軍及び日米両政府の責任において、日米地位協定の見直しを含め、実効性のある抜本的な対策を講ずるよう強く求めます。
加えて、7月の熊本地震、8月の千葉豪雨、9月の台風25号において、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。
令和8年第3回沖縄県議会の開会に当たり、提案しております議案の御説明に先立ち、県政運営に関する私の所信の一端と基本的な方針について申し述べ、議員各位及び県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
私は、去る9月13日の県知事選挙において、県民の皆様の御支持をいただき当選いたしました。146万県民の知事として改めてその責任の重さを痛感するとともに、身の引き締まる思いであります。
県民の皆様の御期待に添うべく、全力で県政運営に取り組んでまいります。
今日までの沖縄県政の歴史を顧みますと、歴代の県知事が、複雑で困難な課題の中にあっても、県勢の発展に力を尽くされたことに対し、心から敬意を表します。
沖縄は、来年で復帰55年という節目を迎えます。これまでの沖縄振興策の推進により、社会資本の整備が進み、観光産業や情報通信関連産業が大きく成長するなど、一定の成果がみられるものの1人当たり県民所得は依然として全国最下位の水準にあり、労働生産性も全国と比較して低迷しております。また、歴史的な物価高により県民の生活が苦しくなっており、加えて、健康寿命の伸び悩み、自然災害のリスク、厳しい安全保障環境など、様々な課題に直面しております。
こうした現状を踏まえ、私は、沖縄を前に進めるための3つの柱を掲げて県政に取り組んでまいります。
1つ目の柱は、「沖縄をまもる」です。
沖縄が直面する様々な課題について、私は、物価高への対応、物流コストの低減、健康長寿おきなわの復活、そして、安全保障を重視しつつ、基地負担軽減を着実に進めていくことで県民の暮らし、命、健康、文化を守る県政を実現してまいります。
2つ目の柱は、「沖縄をひらく」です。
沖縄には、世界に誇る自然、文化、広大な海、地理的特性といった強みがあります。
私は、未来を見据えた技術革新を取り入れ、新産業の創出、交通ネットワークの充実、離島・過疎地域の振興を進めることで、沖縄の強みを生かし、経済を世界にひらく県政を実現します。
3つ目の柱は、「沖縄をつなぐ」です。
沖縄が直面する様々な課題に対して、私は、沖縄を「つなぐ」ことが重要であると考えます。県政と県民、県政と市町村、県政と経済界、県政と政府、それぞれが着実に連携することによって、沖縄全体の力が、十分に発揮されていくと考えております。
そのため、私は、沖縄をひとつにつなぐ県政を実現します。
また、私は、3つの柱を通して県民の皆様に暮らしや経済の改善を実感していただくために、3つの目標を掲げます。県民の皆様が、がんばって働いた分だけ、手取りがふえていく。どんな環境であっても、安心して子どもを産み、育てることができる。そんな当たり前の沖縄を実現するための目標が、3つの「ふやす」です。
一つ目は、「手取りを、2倍にふやす」です。既存産業の高付加価値化と新規産業の創出による経済成長の加速化、アジアの成長を取り込むことによる県経済の規模の拡大などにより、今後10年間で、一人当たり県民所得500万円を目指します。さらに、社会保険料の引き下げを国に求めるとともに、教育費等の無償化により手取りの増加につなげてまいります。
二つ目は、「子育て支援を、2倍にふやす」です。保育料、教育費、給食費の無償化、出産費用や妊婦健診費用の無償化、不妊治療に対する独自の助成、こどもの貧困対策、保育士の処遇改善等を進め、4年の間に、子育て予算を1,000億円に増やします。
三つ目は、「観光消費を、2倍にふやす」です。観光の「質」の向上、海外航空路線の誘致、市町村と連携したMICEの推進、欧米の観光客の積極的な取り込みやリゾートウエディング、フライ&クルーズの推進による観光客一人当たりの消費単価の向上等により、今後8年間で、観光収入2兆円を目指します。
以上の3つの柱、3つの目標を実現するために、10の分野120の政策を展開します。
「暮らしをまもる、明日に希望が持てる社会の実現」では、重点交付金の活用と市町村との緊密な連携による物価高に苦しむ困窮世帯や子育て・高齢者世帯への迅速な給付と、きめ細やかな生活支援、電気・ガス・ガソリン等のエネルギー価格高騰に対する負担の軽減などに取り組みます。
「沖縄独自の魅力を生かした多様な産業の発展と“人”が輝く経済の実現」では、沖縄の独自性を生かした新5K経済「観光、健康、環境、海洋、起業」の促進による「しなやかで強い沖縄経済」の実現、GW2050 PROJECTS(ゲートウェイにせんごじゅうプロジェクツ)との連携体制構築による強力な推進、国・県内外の民間企業と幅広く連携しアジアの成長を沖縄に取り込むことで、沖縄への民間投資の増加、経済規模の拡大などに取り組んでまいります。
「それぞれの地域、それぞれの島が輝く地域振興」では、各地域、各島の環境・文化・経済の特徴を生かした産業の育成、離島地域の地理的不利性を解消するためのインフラ整備とDXの推進、島ごとの個別課題への支援、首里城全体の復興を加速化することによる歴史・文化を生かしたまちづくりの推進などに取り組んでまいります。
「県民にも観光客にも優しく使いやすいインフラ整備」では、国・市町村と連携して、道路渋滞の緩和および移動しやすいまちづくりのための自動車専用道を含む道路網の整備、地域の発展と災害に強い安全な暮らしを支える強靭なインフラの整備などに取り組んでまいります。
「日本一子育てにやさしい島づくり」では、ひとり親家庭の保護者を対象とした就業・資格取得支援の拡充、国に対する児童扶養手当の制度拡充の要請、市町村と連携し、SNS等を活用した児童・生徒向け相談窓口の体制強化、およびプッシュ型支援体制の構築などに取り組んでまいります。
「これからの沖縄の未来を担う人材育成」では、沖縄独自の環境を生かしたグローバル教育やAIなどのIT教育、文化・自然に関する教育の推進、沖縄高専、琉球大学、沖縄科学技術大学院大学と連携することで沖縄の地域課題の解決や産業振興を担う人材育成の加速化などに取り組んでまいります。
「沖縄健康長寿復興プロジェクトの推進」では、健康・医療にかかわる最新技術の活用、医療ビッグデータの活用等による健康長寿の島沖縄の復活、福祉・医療・介護人材の所得向上とキャリアパスを支える処遇改善を強化することで人材不足の解消と、福祉・医療・介護の連携の更なる深化などに取り組んでまいります。
「県民の安心・安全を守る」では、電力系統の強化と水資源管理の体系化による「災害や渇水に強い沖縄」の構築、消防防災ヘリの導入による離島を含む緊急搬送体制・医療体制の充実などに取り組んでまいります。
「二度と沖縄を戦場にしない平和な沖縄の維持と基地負担の軽減」では、普天間飛行場の一刻も早い危険性除去に向けた現実的な解決策として辺野古移設を容認するとともに、北部地域全体の振興・発展、沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画で示されている嘉手納飛行場より南の施設・区域の返還の着実な実施を国に求め、沖縄の経済発展に資する跡地利用などに取り組んでまいります。
「沖縄をひとつにつなぐ実行力の最大化」では、現場の声を迅速に政策に反映させるための「やんばる知事室」、「宮古知事室」、「八重山知事室」の設置、「沖縄政策協議会」の早期の開催を国に求め、沖縄振興と基地負担軽減を政府全体の最優先課題として協議することなどに取り組んでまいります。
私は、県政運営にあたって、以上のような施策を着実に推進してまいります。
沖縄の課題を解決し、沖縄の可能性を伸ばし、みんなが希望をもてる社会を作り、沖縄に残りたい人が残れる、沖縄を離れた人が帰ってくることができる、そんな島を次の世代へ継承するため、職員一丸となって全力で県政運営に当たる決意であります。
以上申し述べましたことに対し、議員各位及び県民の皆様には、御理解と御協力を賜りますよう、重ねてお願い申し上げ、あいさつといたします。
令和8年10月6日
沖縄県知事 古謝 玄太

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