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海軍313設営隊の壕群 =市熱帯植物園

戦跡5カ所の秘密に迫る 第2回巡見 戦時中児童生徒に思い馳せ ごみ問題も浮き彫りに

 市教育委員会と市歴史文化資料館主催の2024年度第2回地域の特色ある埋蔵文化財公開活用事業「失われた学び舎~児童・生徒と戦争~」関連の戦争遺跡巡見が15日に開催された。13人の参加者と共に戦争遺跡を巡り、参加者は、ヌーザランミ特攻艇秘匿壕(ごう)など5つの遺跡を訪れ、当時の様子に思いを馳(は)せ学びを深めた。同秘匿壕では、壕内部の説明を聞きながら、真っ暗な壕の中をライトで照らされた足元を見つめながら進む体験が参加者に強い印象を残した。

ヌーザランミ特攻艇秘匿壕の中=狩俣


 今回の巡見は①ヌーザランミ特攻艇匿壕(狩俣)②池間尋常小学校奉安殿(池間島)③海軍313設営隊の壕群(市熱帯植物園)④下里添の野戰重火器砲壕(下里添)⑤陸軍中飛行場戦闘指揮所(野原)―の戦争遺跡を巡り、戦時中の学び舎や児童生徒の体験に光を当てる目的で行われた。
 そのうち、同特攻艇秘匿壕は市内の戦跡で唯一市の史跡指定であり、6つの壕口が連結した壕の総延長は約300㍍にもなる。当時、壕の内部には41台の特攻艇が格納され、それを乗せる台車のレールが八光湾まで敷かれていたという。
 真っ暗で足元には大きな石も大量に転がっており、参加者らは足元をライトで照らしながらゆっくりと慎重に歩いた。中で説明を聞いた参加者は外に出る際には植物の緑、太陽の光にほっとした表情を浮かべていた。
 また、海軍313設営隊の壕群ではライトを足元に照らすとペットボトルや空き瓶、空き缶などのごみが足元に多量あり、驚いた参加者から「これは戦前ではなく、戦後のごみ。大問題だ」との声も聞こえた。
 参加者からは戦争遺跡の現場での学びの価値を強調する人も多く、そのうち平良在住の50代女性は、「転勤で宮古島に来たが、知らないことが多く、この巡見に参加して良かった」と述べた。
 今回も丁寧に分かりやすく解説した生涯学習振興課文化財係の久貝弥嗣さんは、「宮古における沖縄戦を学ぶ機会になれば」との思いを語った。
 同資料館では、「失われた学び舎~児童・生徒と戦争~」と題した企画展を開催している。戦時中の学校の利用や児童・生徒の体験談、関連する戦争遺跡の模型などを通じて紹介しており、この企画展を通じて、戦争の歴史を後世に伝え、平和の重要性を考える機会を提供している。9月1日まで。
 問い合わせは同資料館(72・4506)まで。祝日を除く水曜から日曜日に公開されている。月曜休館。午前9時~午後4時半。入館は午後4時まで受け付ける。

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