社説 農業委員選考の正当性調査まとめ

 調査特別委員会の審議から農業委員の選考過程をひもとくと、座喜味一幸市長が農業委員会に農業委員の評価・選考業務を委任。農業委員会は法規に準じて評価委員会を設置して候補者の評価・選考を行い、選考案にまとめて市長に報告。
 評価過程で座喜味市長が推す候補者が最下位の評価点数で落選。この結果に座喜味市長が不満を示して「評価委員会は『感情的な判断』をした」と断罪。評価結果の変更を目論(もくろ)むも「公文書改ざんにあたる」として農業委員会と評価委員長に断られた。そこで『市長の総合的な判断』という新基軸を編み出し、独自に中立委員枠を増やして推し候補を繰り上げ選任。ほか2人の候補者を入れ替えて他言無用とした。
 市上層部が法規と格闘しながら「市長固有の『任命権』に基づく変更」という手法をひねり出した結果、認定農業者の候補者が玉突き的に落選となり、法令で「認定農業者を過半数以上選任する」としている要件を満たさない選任案が完成。
 座喜味市長は法規に反した状態の農業委員選任同意案を堂々と市議会に上程。質疑では「女性・若者・スピーディーな農地行政」と「市長の総合的な判断」を盾に不明瞭な答弁を繰り返した結果、審議未了で廃案。
 調査特別委員会でも、法令や規則を示して説明する農業委員会とは対照的に、市は座喜味市長の任命権と総合的な判断を連呼。挙げ句に嘉数登副市長が「選考の判断基準は『市長の頭の中』にしかない」と市長の恣意(しい)的判断と同義の答弁をする始末。そこに座喜味市長が「農業行政の課題解決のためには農業委員会の選考案を『追認』するのは妥当ではない」との不敬発言で追い打ちをかけた、となる。(完)
【あとがき】農業委員会が「公務の正当な執行のために」と英断して提出した備忘録には、面談での各人の言動が詳細に記されていた。その備忘録の内容確認に対して「記憶にない」「記憶が曖昧」などと虚偽回避に努める市上層部の姿勢にこそ、不健全な行政運営の姿が投影されていた。

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