宮古島で大麻まん延 宮古島署警戒

 宮古島警察署(仲宗根宗信署長)がこのほどまとめた管内の2022年5月末時点の違法薬物事犯のうち、大麻取締法違反での検挙数は10件(暫定)で、うち2件は未成年と分かった。21年度の検挙数は8件で、前年を上回ることは確実な見通し。同署は20年に組織犯罪対策課を設立するなど取締を強化しているが、沖縄本島では従来の乾燥大麻に替わり携行しやすい「大麻濃縮物」など流通しSNS(会員制交流サイト)やスマートフォンのアプリを用いた取引が横行しているのが現状だという。同署は若年層の違法薬物まん延に警戒を強めている。
 同署管内の大麻取締法違反での検挙数は、19年=8件▽20年=6件▽21年=8件―だった。県全体では21年は150件が検挙され過去10年で最悪の数字だったことに加え、うち未成年が36件と24%を占め、過去最悪の水準だったという。
 同署では県内の若年層検挙者の急増に対し、21年には市内の小中高校で20回の薬物乱用教室を行い未成年への広報啓発を推進したほか、海上保安庁、税関と連携し水際対策の強化を行ってきたという。
 近年は大麻草を煮沸して制作する「大麻リキッド」や「大麻ワックス」の流通が特徴という。市販の電子たばこ装置で吸引できるほか、乾燥大麻などに比べ匂いが少なく小型のボトルなどに入れて携行しやすいうえに高価で取引されるため、同署では反社会的勢力などへの資金源になることを懸念している。
 若年層へ向けたアンケートなどでは「大麻は有害ではない」、「国によっては合法なので問題ないのでは」といった誤った認識が広まっているといい、警察関係者は「スマートフォンの普及で大麻の取引が容易になっており、若年層に急速に大麻がまん延しているのでは」と指摘する。
 同署の伊集守隆副署長は、「離島も含めて薬物がまん延しているのは間違いない」と警鐘を鳴らし、「一度国内に入ってしまった違法薬物は摘発が難しい。市民の皆さんには危機感を持ってもらい、積極的に情報提供をお願いしたい」と呼び掛けた。

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