陸上養殖のダントツ1位は沖縄県、大分の「かぼすヒラメ」などブランド魚も続々
近年の地球温暖化による海水温上昇、記録的な不漁、そして海外の和食ブームに伴う水産需要の高まりなどを背景に、陸上養殖が注目を浴びている。
周囲を海に囲まれている日本でなぜ、と思う向きもあるだろうが、海面養殖につきものの自然災害リスクを回避することができ、野生由来の病原体や寄生虫の侵入を防ぐことができるなどメリットが多い。よって、魚の安定供給が見込めるからだ。
2023年4月から水産庁による届け出制がスタートして、国内市場は急成長を続けており、2030年には現在の約5倍、約1700億円規模に達するとの試算も出ている。
テレビ東京系「WBS(ワールドビジネスサテライト)」によると、水産庁への届け出数で第10位は福岡県と静岡県、第9位は山口県、第8位は北海道、第7位は愛媛県、第6位は長崎県、第5位は熊本県、第4位は岐阜県、第3位は鹿児島県、第2位は大分県、第1位は沖縄県。
海に囲まれた沖縄県が1位というのも、これまた不思議な感じもするが、ダントツのトップだ。もっとも多いのは沖縄名産の海ぶどうで、海と違って台風の影響を受けにくい。例えば、日本バイオテックは、通常1週間の賞味期限を2年に延ばす独自製法を開発した。昨年は海外海外18の国や地域に約1.3トンを輸出し、販路を拡大している。
回転ずしの人気ネタ、サーモンも陸上養殖
“海なし県”で唯一ランクインした岐阜県の池田町では「エビ畑」で30万匹ものバナメイエビを養殖している。エビは低濃度の海水で育てやすく、比較的耐性が強いという。また、下呂市では官民連携の動きがあり、使われなくなった温泉施設を市が養殖業者に提供している。温かい温泉水を使ったウナギの陸上養殖を行っている。
大分県で育てているのは、県特産のかぼすを混ぜた餌を食べさせている「かぼすヒラメ」。海外産の安いヒラメに対抗すべく開発したブランド品種だ。
陸上養殖が注目される理由には、近年は回転ずしのネタとしてサーモンが圧倒的人気を誇ることもある。現在流通しているのはノルウェー産やチリ産など海外産がほとんどだが、日本各地で大切に育てられたブランド魚も人気を集めている。信州サーモン(長野県)、甲斐サーモンレッド(山梨県)などのご当地サーモンだ。最近は大型投資が集まっている熱い分野だ。
漁業権が不要で工場のように管理できる特性から、ガス・電力大手など水産業界以外からの参入も加速している。また、静岡や三重などで、外資系企業や国内大手が年産数千トン規模の巨大なRASプラント(閉鎖循環式陸上養殖システム)を相次いで建設・稼働させている。
陸上養殖は高コストという課題を克服しながら、一過性のブームから一大産業化への転換期を迎えている。
文/横山渉 内外タイムス


