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国がディー・エヌ・エーのゲーム開発に15億円支援することへの違和感の正体

国がディー・エヌ・エーのゲーム開発に15億円を支援することに対し、SNSで炎上騒ぎとなっている。経済産業省が日本のエンタメコンテンツの海外展開を後押しする「IP360(コンテンツ産業成長投資支援事業)」の一環で、ディー・エヌ・エーの北米向けゲーム開発費の2分の1を補助するというものだ。

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ディー・エヌ・エーへの支援が批判的に扱われている要因は、3つに集約できそうだ。1つ目はキャッシュリッチな会社であること。2つ目はCEOの南場智子氏が経済財政諮問会議の民間議員に起用されるなど、政界とのつながりが深いこと。3つ目はディー・エヌ・エーによるオリジナルゲームの開発実績が他社に比べると高くはないことだ。

ディー・エヌ・エーは2026年3月末時点で、現金及び現金同等物が1000億円を超えている。2026年に保有していた任天堂の株式の一部を売却。「有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入」が509億円もあった。株主還元策として、上限で500億円の自社株買いの実施も発表している。

これほどキャッシュリッチな会社に対して、国からの15億円の支援が妥当なのかが問われているのだ。

6月27日付で南場氏がディー・エヌ・エーのCEOに復帰した。社長復帰は15年ぶりだ。南場氏は経済財政諮問会議の民間議員を務めている。経済財政諮問会議は、経済や財政の全体像を俯瞰(ふかん)し、骨太の方針をまとめる役割を担っている。

南場氏はコンサルティング会社マッキンゼー在籍時に、外務大臣の茂木敏充氏と先輩後輩の関係にもあった。

経済産業省は支援先について、利害関係のない第三者の審査委員が選んだことを強調している。しかし、南場氏の政界への影響力があまりに強い点は見逃せない。

北米市場で成果を上げるサイバーエージェント

ディー・エヌ・エーは2024年10月に「Pokémon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)」をリリースして大ヒットさせた。このゲームは2億ダウンロードを突破したメガヒット作である。

しかし、「ポケポケ」は「ポケモンカード」という人気のカードゲームのモバイルゲーム版だ。ディー・エヌ・エーが独自に生み出したものではない。サイバーエージェントが「ウマ娘 プリティーダービー」、MIXIが「モンスターストライク」というヒット作を生み出した一方で、ディー・エヌ・エーは独自IPの人気作に乏しい。

15億円の支援で、ディー・エヌ・エーは「北米をはじめとするグローバル市場で、日本発のヒットタイトルを創出する」とし、「多打席検証型アジャイル開発」でヒット作を狙うとしている。

これはおそらく「ソフトローンチ戦略」のことだろう。ディー・エヌ・エーは2026年5月の決算説明にて、この戦略に言及。過去2年間で少額・短期間で数多くのタイトルの検証を終え、中期的には年に複数本安定してローンチできる体制を構築すると説明した。

具体的なゲーム内容には触れていないものの、この手法はハイパーカジュアルゲーム開発に近い印象を受ける。カジュアルゲームとは、ゲーム性がシンプルで誰でも手軽に遊べるものだ。XやInstagramで、単純なパズルやアクションゲームの広告を目にした人も多いだろう。

カジュアルゲームはサイバーエージェントが子会社GOODROIDを通して開発を進めており、すでに全世界累計で6億ダウンロードを突破している。

サイバーエージェントは「ウマ娘 プリティーダービー」の英語版もヒットさせ、2026年1月~3月の海外売上は前年同期間の3.5倍に急増した。「ウマ娘 プリティーダービー」のような育成ゲームはアメリカやヨーロッパでは流行らないという常識を覆したのだ。

つまり、カジュアルゲーム・モバイルゲームどちらにおいても、サイバーエージェントはディー・エヌ・エーの一歩先を進んでいたわけだ。

日本のコンテンツ産業を成長させたいという政府の思惑は理解ができる。しかし、支援先を選定した理由を国民に理解させる必要があるのではないか。そうでなければ、IP360補助金のあり方そのものの信頼性が揺らぎ、支援を受ける企業の萎縮にもつながりかねない。

文/不破聡 内外タイムス

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