ネパール土石流に「どうしたらいいのか分からない」、野球普及に尽力してきたNPO代表も心配と困惑の日々
ネパールと中国の国境地帯で大規模な土石流と洪水が26日に発生し、捜索・救助活動が続いている。死者500人以上、行方不明2400人以上との報道もあるが、情報が錯綜しており、不明な点も多い。
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今年は日本とネパールが1956年に国交樹立してから70周年。両国の友好関係や所得格差、日本の人手不足などもあり、ネパールから来日して働く人は増えている。2025年末時点で、日本在留のネパール人は30万人以上、在留外国人の国籍別で5番目に多いという。
それだけ身近な国の大災害に心を痛めている人は多いだろう。ネパールに野球を広めようと1999年に発足したNPO法人「日本アジア球友団ラリグラス」の小林洋平代表理事もその一人。大学時代に訪れたネパールの自然の雄大さと人々の笑顔に魅了され、30年近く地道な活動を続けてきただけに心中穏やかではない。
「ラリグラスの現地スタッフは無事が確認できましたが、ネパール野球ソフトボール協会理事のドライバーの方が連絡が取れないみたいなんです。そのドライバーの方は最近お子さんが生まれたばかりなんですが、電話も全然つながらない状態で、どこにいるのか誰も把握できてないので心配です」
今回の大災害の原因はまだ解明されていないが、地球温暖化が進んで氷河が解けたためではないかとの指摘もある。ラリグラスの活動に取り組みながら、本職は消費者団体に勤務する小林氏は、偶然にも気候変動に関する仕事に取り組んでいる最中に今回のニュースが飛び込んできたという。
「ちょうど気候変動をテーマにした展示資料を作る中で、温室効果ガスの排出量の少ないネパールのような国々が、気候変動の深刻な影響を受けている現実について改めて考えているところでした。そんな中で今回の災害が起き、本当に驚きました。資料の中だけの話ではなく、自分たちが長く関わってきた人たちの暮らす場所で、現実の被害として起きていることに重さを感じています」
12月に現地でイベントを計画も
ネパールには野球というスポーツ自体が存在していなかったが、小林氏をはじめ「ラリグラス」の地道な取り組みが少しずつ実を結び、ネパール代表チームを結成して西アジア大会予選などに出場するまでになった。

草の根活動は多くの人の共感を呼び、日本のプロ野球球団や多くの団体、組織が用具や資金の提供などで協力。小林氏は代表監督を務めたこともあり、現在もネパール野球ソフトボール協会のアドバイザーとして名を連ねている。
実は9月に愛知県を中心に開かれるアジア競技大会に合わせて、ネパールから協会役員らが来日する予定で、ビザ申請などの書類を作成していた最中だったという。さらに12月には現地ネパールで、日本の他の団体と一緒にイベントを行う計画も進んでいる。
「元々スポーツが発展していない国なので、体を動かすことは楽しいと思っていただけるような総合型のプログラムを実施する予定です。結果的に野球人口も増えればと考えているんですが、今回の災害がどこまで影響するか…」と不安げだ。
2015年のネパール大地震より深刻…
ネパールでは2015年4月25日にマグニチュード7.8の大地震が起きた。インド、中国、バングラデシュも含めて死者8964人と伝えられる大災害だった。その時、東北楽天ゴールデンイーグルスの選手らが募金活動を行い、集まった義援金を持参して小林氏が現地を訪れた。
「あの年は何度も現地に行って復興支援をしました。ただ、今回は現地の状況をつかめないので、救助も含めて動きようがないと言うか、どうしたらいいのか分からないのが正直なところです」と話す。

また、2年前にカトマンズマラソン出場のために現地を訪れた際は、観測以来最大の大雨に見舞われたこともあった。
「スタート時間を1時間ぐらい遅らせたんですが、それでもスタートしたら膝のところまで水が浸かるような状況でした。8月、9月は雨が多いんですけど、その頃からおかしな現象が続いてるなという声を聞いていました」
雄大なヒマラヤがそびえ立つネパール。全てが人為的要因ではないにせよ、地球温暖化などによる気候変動は徐々に、しかし確実に進んでいる。そして、突如として起こる災害は、地球が人類に発している警告なのかもしれない。
文/請川公一 内外タイムス編集部







