• 全国
  • タイでも起こるインフルエンサー関連のトラブル 炎上したときの日本との違いは
  • HOME
  • 全国
  • タイでも起こるインフルエンサー関連のトラブル 炎上したときの日本との違いは

タイでも起こるインフルエンサー関連のトラブル 炎上したときの日本との違いは

10月下旬、タイの複数のメディアが、タイ人インフルエンサー、ゴルフ・カナリンさんが涙ながらに投稿した動画を取りあげ、話題となった。その直前にあるトラブルに対する謝罪声明を投稿していたが、それが自身の意思に反して強要された投稿という主張だった。

タイ政府、中国から支援を受けリサイクル産業を強化 電気自動車で狙う中国の思惑とは

発端は、今年7月ごろのことだ。元女優で、現在はスポーツ系インフルエンサーとして「インスタグラム」で約37.6万人、「フェイスブック」20万人超というフォロワーを持つゴルフさんがバンコク都内の公園をジョギング中、園内のレストランをランナーが休憩できる場所として活用すればレストランの売り上げに貢献できると考え、マネジャーと共にレストラン側に企画を持ちかけた。

朝6時から9時まで店頭でコーヒーなどを販売し、売り上げの15%を渡すという話で合意していたとされる。試験的に10月17日と18日に実施し、その後2週間ほど営業するという期間限定のものだった。

しかし、ゴルフさんらが初日はその営業時間を大きく超えて営業したこと、また企画を持ちこんだ相手があくまでも店舗マネジャーであってオーナーではなかったこともあり、オーナーが激怒。オーナー側が作成した謝罪文を掲載することなどで話がついたものの、ゴルフさん側は18日にオーナーが複数の取り巻きを連れてゴルフさん側の従業員を拘束するなどで身の危険を感じたために応じたと主張。それが涙ながらの動画投稿につながった。

オーナーは怒鳴ったことは認めているものの、拘束はしていないこと、企画の許可をしていなかったことなどを次々と証拠とされる資料と共にマスコミに公開。一方でゴルフさん側も話し合いの「LINE」の内容、販売するもののメニューリストなどを提示し、反論しあっている。警察やオーナーの息子が仲介に入っているものの、当記事執筆時点では結論は公表されていない。

バズ狙いのムチャ企画や、案件動画の功罪

世界的にインフルエンサー、YouTuberなどが発言力や集客力を持ち、それを利用する企業も多く、タイでも同じようにSNSなどでの宣伝やマーケティングがあたりまえになっている。同時に、インフルエンサーが起こすトラブルも増えた。2024年12月にはインフルエンサーが大量のアルコールを摂取する動画企画で死亡。成功報酬3万バーツ(約15万円)のために起こった事故で話題になった。

こういったむちゃな企画はわりと欧米の動画企画によく見かけるが、日本でも起こるような事件・事故もたびたび起こっている。2024年4月にはタイ人インフルエンサーがタイ国内の鍋物食べ放題店のベルトコンベア(回転寿司のような装置で具材が回る)の上に土足で立つ様子をアップし、猛批判を受けた。ただ、これはインフルエンサーの謝罪で収束している。

日本と異なり、いわゆる“炎上”が起こると、タイの場合は警察が動くことが多い。あるECサイトの広告動画を請け負ったインフルエンサーは、タイ伝統衣装を着て車いすに乗っているところ洋服を盗まれてしまい、服はそのECサイトで安く購入できるというような動画を作成した。これがタイの王室とタイ人のハンディキャップを侮辱していると捉えられ、逮捕されている。

タイには王室不敬罪があり、日本にはない制度だ。このほか、アルコール飲料のステルスマーケティングと受け取られると同様に警察が動くことがしばしばタイでは見受けられる。タイはアルコール類の広告規制が厳しいためだ。

タイに限らず起こりやすいインフルエンサーの事件としては詐欺関連も多い。タイは昔から口コミで宣伝が広まる傾向にあるため、インフルエンサーの発言は影響力がある。中でも投資詐欺は不況のタイでは飛びつきやすいケースで、被害額も巨額になりやすい。

2024年、タイ警察はフォロワー100万人以上を持つフィットネス系インフルエンサーを含む3人を投資をめぐる事件で逮捕している。被害を訴えたのは16人で、被害額は600万バーツ超(約3000万円)。SNSを通じて海外の投資プラットフォームとして紹介し、年84~96%という高い利益率をうたって勧誘していたとされ、当初は利益が支払われていたものの、その後に滞り、ウェブサイトが閉鎖されて警察が捜査に入った。

同年11月には、2022年に投資詐欺で逮捕状が出て、インドネシアに逃亡していた女性インフルエンサーが逮捕された。被害は6000人におよび、およそ20億バーツ(約100億円)ともいわれる。

タイでもインフルエンサーの中にはこういった悪い人、問題児もおり、今後もこういったトラブルは起きると推測される。

文/髙田胤臣 内外タイムス

関連記事一覧