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妊産婦の心理的負担に配慮、「異常分娩」の表現を見直しへ 産科用語に広がる変化

厚生労働省とこども家庭庁は20日、出産に関する「異常分娩(ぶんべん)」という表現を「保険診療を伴う分娩」などに改める方針を示した。今後は、関連する文書を修正し、民間保険を提供する企業にも使用を避けるよう呼びかける。

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日本産科婦人科学会(日産婦)が「異常」という言葉が、出産した女性の精神的な負担につながりかねないとの指摘を踏まえ、政府に使わないよう要望していた背景がある。

今年7月、日産婦は会員にアンケートを実施。回答した8割超の同会員が妊産婦への説明で使用を避けることに賛成したとし、この結果が見直しの後押しになったという。

そもそも、異常分娩とは具体的にどういうものなのだろうか。

まず、正常分娩とは帝王切開などの医療行為の介入なしで出産する形態のことを指す。一方、異常分娩は母体や胎児の状態に何らかの問題があり正常分娩とならず、母子の生命と安全を確保するため、分娩経過において薬剤や器具などによる医学的介入を要するものだ。

例えば、帝王切開や胎児の頭を器具で引っ張り出産を補助する「吸引分娩」、初産(初めてのお産)で30時間以上、経産(1回以上の分娩経験者のお産)で15時間以上かかる「遷延(せんえん)分娩」などが含まれる。

現在、「正常分娩」は公的医療保険の適用外だが、医療処置をともなう出産は「異常分娩」に分類され、保険が適用される。このため、厚労省の通知などでは、保険適用の「異常分娩」、保険適用外の「正常分娩」と区別する表記が一般的だった。

なお、異常分娩は大きく分けて娩出力(胎児を押し出す力)、産道(胎児の通り道)、娩出物(胎児・胎盤など)のいずれかに異常が生じた場合に起こるとされている。さらにその原因は多岐にわたるため、対処法の有無もさまざまである。よって、妊娠中や分娩時の定期的な検査と医療チームによる判断が重要となる。

近年、産婦人科で用いられる医療用語の見直しが求められている。例えば、自然流産を連続3回以上繰り返す状態の「習慣流産」を「不育症」という呼称で扱う傾向にあるようだ。国際的・国内のガイドラインでも定義が見直されている。

また、日産婦やWHOは、35歳以上の初産婦と40歳以上の経産婦を「高齢出産」と定義しているが、報道や啓発では「35歳以上出産」「高年齢妊娠」など、年齢層を示す表現が主流となってきている。

さらに、硬膜外麻酔を用いることで陣痛の痛みを和らげる分娩方法「無痛分娩」は、「痛みがゼロになる」という誤解を招きやすいことから日本麻酔科学会は「分娩時鎮痛(鎮痛分娩)」という呼称を提案し、今年7月時点で用語集に正式収録された。

妊娠や出産の際に、少しでもストレスを軽減できるよう、産婦人科の業界を中心に取り組みが進んでいるようだ。

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