原子力潜水艦とディーゼル潜水艦の違いとは 原潜導入の議論進むも国民の関心は低調
「潜水艦」という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろう。第二次大戦中にナチス・ドイツが重宝した「Uボート」や潜望鏡で敵艦を捕捉し、魚雷を発射するイメージを持たれる方は比較的年配の方だろうか。最近では「沈黙の艦隊」シリーズなど漫画や映像作品の中で「潜水艦」をイメージできる人も多いかと思う。
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日本の周辺がにわかにキナ臭くなってきている。そんな漠然とした雰囲気を感じ取っている人の中に、今防衛の問題で「潜水艦」が話題になっていることにお気づきの方はあまりいないのではないか。そして、そもそも日本が「潜水艦」を保有していることすら、知らなかったという人もいるかもしれない。
海上自衛隊の潜水艦隊のホームページを見ると、日本が保有する「潜水艦」は通常運用している作戦用の潜水艦が22隻で、内訳は広島の呉基地に12隻、横須賀基地に10隻。これに練習潜水艦2隻と試験潜水艦1隻を加えると計25隻となる。
10月8日、三菱重工業の神戸造船所で海自の新型潜水艦「しょうげい」の命名・進水式が行われた。「しょうげい」は漢字で「翔鯨」と書き、小泉進次郎防衛相が海自の部隊などから募集した候補から決定したという。「命名・進水式」とは海自のホームページによると、「艦艇が進水する際、防衛省では、まず、その艦艇に対して命名を実施し(命名式)、その後、会社側が進水式を実施します」とあり、1つの儀式でもある。
「たいげい」型潜水艦の7番艦として、2028年3月に就役する予定だという。「就役」とは防衛省によると、建造された艦艇(護衛艦や潜水艦など)が防衛省に引き渡され、正式に海上自衛隊の戦力(編成)に加えられることをいう。
防衛省・自衛隊で当たり前のように使う用語はとにかく分かりづらいのだが、「たいげい」型とは何だろうか。
「たいげい」型潜水艦は海自の最新鋭の潜水艦で、世界最強と呼ばれる米海軍の原子力潜水艦をしのぐ性能とも言われる。特徴は「高性能リチウムイオン電池」を搭載したことで、長時間、浮上しなくても高速・静音で水中を航行できる能力を持っているとされている。
潜水艦は「海の忍者」とも呼ばれる。レーダーの電波が届かない海中に潜み、敵に見つからないようさまざまな作戦を行う必要がある。そのため求められる性能は高い「隠密性」だ。敵艦に探知されずに作戦行動できることが求められるのである。今回はその「たいげい」型潜水艦のうちの7番目の艦(しょうげい)のお披露目となったのである。
「原潜」導入議論加速も国民の理解得られるか
世界最強ともいわれる米海軍の原子力潜水艦に、性能でひけをとらない日本の潜水艦なのだが、ここにきて日本でもその「原子力」潜水艦(原潜)の導入をめぐる議論が最近急速に高まっているのだ。
小泉防衛相は繰り返し自衛隊の原潜導入について、あらゆる選択肢を排除せず、議論していく必要性を主張。高市早苗首相も14日、衆院予算委員会で安全保障関連3文書の年内改定をめぐって、自衛隊の原潜導入について「具体的かつ現実的な検討を深める」と述べ、議論の対象に含める考えを示唆したという。
なぜ、原潜が必要なのか。朝日新聞によると、原潜は海自が運用する既存のディーゼル潜水艦に比べ、燃料補給の必要がなく長時間、長距離の潜航が可能で、隠密性に優れているという。また速力もあり、原潜を追尾するには通常の動力型では限界だとする見方もあるとしている。原潜を保有する国が中国やロシアのほか、北朝鮮が建造中であることも日本での原潜導入に向けた議論を加速させる要因なのかもしれない。
海自トップの齋藤聡海上幕僚長も13日の会見で、原潜の導入について「軍事的に見ますと、(通常型潜水艦と比較して)原子力潜水艦の能力というのは格段に向上しますので、そういったメリットがあると思っております」と率直に答えている。自衛隊関係者に話を聞いても、海自の制服組の中で原潜の導入に前向きな意見が一定程度広がりつつあるという。
一方で、被爆国である日本が原潜を保有することへの国民的理解は不可欠で、政府が十分な議論を経ずに導入を決めることは難しく、ばく大にかかる費用の問題はもちろん、安全性や運用体制、原子力そのものに対する社会的受容性など、解決すべき課題は多い。
文/寉見陽平 内外タイムス






