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昔は「500円券」だったのに…企業の情報漏えいでおわびの品が消えた、その理由とは

2026年9月下旬以降、企業への不正アクセスと個人情報漏えいの公表が相次いでいる。タイムズカーでは約660万件のアカウント情報が流出し、そのうち約160万件で運転免許証など本人確認書類の画像が漏えい。焼肉きんぐでは約1079万件、ローソンでは約215万件の顧客情報がそれぞれ流出した。

各社は事実関係を認め謝罪し、対象者への連絡や問い合わせ窓口の設置などを進めているが、ネット上からは「昔、個人情報漏えいで500円の金券とかで穏便にって感じだったのがもう1円のお詫びもなし」「もはや誰も500円すらくれなくなったのはすごい」「500円がマシだと思えました」という不満の声が聞かれている。

AI悪用したサイバー攻撃や不正利用が急増 対策の1つに信用情報機関への申告も

実際、2004年に発生したYahoo! BBの約451万件の会員情報流出では、全会員に500円相当の金券が送られた。また、2014年のベネッセコーポレーションによる顧客情報流出でも500円分の電子マネーギフトまたは全国共通図書カードが用意されたことは記憶にも新しい。

ほかにも、2009年のアリコジャパン情報流出では、流出が確認された顧客に1万円の金券、残りの顧客にも3000円分の金券と謝罪文が送付されたり、2004年の東武鉄道「102@Club」の個人情報漏えいでも、東武動物公園または東武ワールドスクウェアに入園できる招待券を2枚送付することが発表されるなど、かつては情報漏えいに対する「直接的なおわび」が存在したものの、今回の一連の大規模漏えい事案では、企業の多くが一律の金券配布を発表していない。

顧客の信頼回復見込めない金券配布

実は、こうした一律の金券配布はもともと法律で決められた補償ではなく、あくまで企業が任意で行う見舞いという位置づけだ。単純計算で500円でも100万人なら5億円、1000万人なら50億円になり、発送や問い合わせ対応にはばく大な費用がかかる。その上、金額が少なければ逆に「個人情報の価値は500円なのか」といった反発が聞かれることもあるため、企業が「誠意」を見せるやり方としては費用対効果が低いともいえる。

また、情報漏えい後の制度も変わった。2022年4月以降、1000人を超える漏えいに加え、要配慮個人情報や財産的被害のおそれがある場合、不正目的による漏えいなどでは、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務化された。

さらに近年の情報漏えいの主要因に当たるサイバー攻撃を受けた場合、サーバーの遮断、ログの保全、外部専門家による調査、対象者の特定、システム復旧などにも費用が必要となる。

当然、過去にもこうした対応は行われているものの、法律的な対応や技術的対応が複雑化する中、巨額の費用がかかる割に信頼回復の効果を見込みにくい一律金券は、選ばれにくくなったとみられる。

消費者目線からすると、企業が調査や復旧に多額の費用を投じるのは「当然」で、謝罪の気持ちは見えにくいうえ、パスワード変更や不審メールへの警戒といった負担は本人が被るため、かつてあったおわびの品がないことは少しばかり不満が残る。

企業にとって金券配布は費用対効果の低い謝罪の方法かもしれないが、再発防止のため、より高度なセキュリティー対策を講じたことなどが、分かりやすく契約者に提示されない限り、不満は高まるかもしれない。

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