小池百合子都知事が就任10年 嫉妬と羨望の周辺自治体から税収偏在是正の要求、今後は高市首相頼みか
8月、小池百合子東京都知事が就任から10年を迎えた。
初出馬の際のマニフェストで掲げた「満員電車ゼロ」「介護離職ゼロ」など「7つのゼロ」は十分に達成したとは言い難い状況だが、ここ数年の小池氏は、無痛分娩に対する最大10万円の助成、0~2歳児の保育料の第1子無償化、0~18歳の子どもに対する月5000円の給付など妊娠期~子育て期の支援を充実させてきた。
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子育て支援に力を入れる都議も「小池氏は潤沢な財政を背景に『東京都が最初に実現した』とアピールしやすい政策に取り組んでいる。都内の区ですでに実施されている施策を都でも行う、ということはプライドが許さないようで、新鮮味やインパクトのある『初の無償化』『初の助成』を行っていて、見せ方がうまい」と舌をまく。
そんな小池氏の施策は子育て世帯から支持され、「出産後、早い段階で子どもを保育園に入れたため、保育料が100万円以上浮いて助かった」(都内で子どもを育てる30代女性)などの声が上がる。
「都内に住めばよかった」と嘆く川崎市民も
だが、そんな都の子育て政策には、東京以外から嫉妬と羨望(せんぼう)のまなざしが渦巻いている。それが今後、小池氏の足をすくうかもしれない。
小池氏が子育て政策を充実させる前に、東京都に隣接する神奈川県川崎市内に住宅を購入した30代夫婦は「こんなことなら都内に住めばよかった。都内西部なら、23区より住宅も安く、充実した子育て支援を受けられるなんて……」と嘆く。
千葉県内に住む30代女性も「東京の友だちと『女子会』をすると、『保育料が浮いた』『卵子凍結で数十万円の補助が出た』とうらやましい話ばかり」とため息をつく。
こうした状況に、千葉・神奈川・埼玉といった東京周辺の県知事が、住民を東京に奪われるとの危機感を抱き、都に偏在する税源の是正を求めている。一方で小池氏は、住民1人あたりの一般財源額は全国平均と都で「ほぼ変わらない」と主張し、「偏在がどこにあるのか」と反論している。
消滅した「東京一極集中の是正」
そこで小池氏が頼みの綱とするのが高市早苗首相だ。もともと、小池氏は小泉政権時代に環境相として初入閣。「クールビズ」の旗振り役として注目を集める一方、高市首相はその後の第一次安倍内閣で初入閣と、小池氏のほうが一歩先を行く政治キャリアだった。
さらに小池氏は小泉純一郎氏、二階俊博氏など時の権力者と近い関係を築いていたのに対し、高市首相は「メシ会苦手な女」として党内に仲間を作るのも苦手だった。
「小池氏は、かつて出世レースで自身のほうが目立っていただけに、高市首相の誕生には複雑な思いだっただろう」(全国紙政治部記者)とみられているが、小池氏にとって子育て政策のPRは生命線。今年4月からは「国と東京都の協議会」を開催し、小池氏は「限られたパイの分け方というような、これまで何年か見てきたようなシステムがなかなか成り立たないのでは」と高市首相の前で訴えた。「都の税収を地方に回す」という手法に釘を刺した形だ。
こうした働きかけも功を奏してか、7月に閣議決定した、政策の方針を記す「骨太の方針」からは10数年ぶりに「東京一極集中の是正」が消滅。ただ、今後は年末に取りまとめられる税制改正大綱で記されるとみられる税の偏在是正の具体的方針が焦点になる。
都政担当記者は「小池都知事が政策を次々と実現できているのは、潤沢な税収があるから。これからも自身の存在感を見せるためにも、都の財源を削らないよう、高市首相に働きかけていくだろう」とみる。
小池氏の任期はあと2年。今後も自身の政策実現を続けていけるかは、高市首相との関係を維持できるかどうかにもかかっていそうだ。
文/中村まほ 内外タイムス






