沖縄県知事選が27日告示、下地氏不出馬で6氏争い 一騎打ち構図に 安全保障や経済対策巡り17日間の論戦スタート
任期満了に伴う沖縄県知事選挙(9月13日投開票)が27日、告示を迎える。これまでに現職と新人を含む本土復帰以降過去最多の7氏が相次ぎ出馬を表明していたが、25日に無所属で立候補の意思を示していた元衆院議員の下地幹郎氏(65)が自由民主党と政策協定を結び立候補を取りやめた。これにより知事選は6氏による争い、現職の玉城デニー氏(66)と新人の古謝玄太氏(42)による事実上の一騎打ちの構図に一変した見通しだ。物価高対策や子育て支援、宮古島市をはじめとする離島振興の具体策、米軍基地問題や外交、安保政策など、沖縄が直面する多角的な課題を争点に、17日間の激しい選挙戦が展開される。
3選を目指す現職の玉城氏=オール沖縄勢力支援=は、政党の正式推薦を受けない「全県民党」のスタンスで臨む。2期8年の実績を基礎に「循環型経済」の構築や「誰ひとり取り残さないおきなわゆいまーる基金(仮称)」の創設などを提示。さらに「島々の振興なくして沖縄振興なし」を合言葉に、ICTやAIを活用した遠隔医療システムの拡充、交通や物流コストの低減を掲げる。インフラ面では、2027年度の「交通まちづくり部」新設による本島南北の鉄軌道構想推進、脱炭素と産業振興を両立するエネルギー革命などを公約に据える。
一方で、22日に開かれた決起大会において、告示前にもかかわらず支持者に投票を呼びかけた発言は、公職選挙法が禁じる事前運動に抵触する違反行為にあたる。現職知事でありながら基本ルールを破った道義的責任は重く、県警への刑事告発状が提出される事態に発展している。
これに対抗する前那覇市副市長の古謝氏は、自民、公明、日本維新の会、国民民主党、参政党、日本保守党など幅広い連携を構築し「県政刷新」を唱える。「手取り」「子育て支援」「観光消費」の「3つの2倍増」を公約に掲げ、DX推進による稼ぐ力の向上や、保育料、教育費、給食費の完全無償化を訴える。
さらに下地氏が自民党本部と交わした「子ども貧困対策予算300億円の獲得」や「鉄軌道の5年以内着工目標の設定」など4項目の政策協定も視野に経済を立て直す考えで、政府との「沖縄政策協議会」の早期再開や、やんばる、宮古、八重山への知事室設置による現場主義を強調する。
他の新人4氏も独自の政策を掲げて支持拡大を図る。IT関連会社代表の兼島俊氏(48)は、テクノロジーを活用した新しい政治スタイルを提示し、基地の是か非かという二元論の議論に終始する県政の現状を批判。「目安箱システム」や、41市町村のリアルタイムな課題、意見を可視化・データ化する「地声」システムの導入を提唱している。
医療法人会長の末吉正弘氏は、高齢者の孤立や貧困、子どもの貧困問題が深刻化する現状を背景に、家庭環境や社会環境の改善、地元の中小企業への継続的で手厚い支援を通じて、福祉と経済の双方から県政の底上げを狙う。
会社代表の比嘉隆氏(49)は、医療、健康政策への独自のアプローチから県政改革を呼びかける。新型コロナワクチンの接種中止を提言するとともに、県庁内に「ワクチン後遺症対策部」を新設し、被害を受けた県民に対して毎月10万円を支給する救済制度や補償の徹底を主張する。
政治団体「琉球独立党」代表の屋良朝助氏(74)は、「琉球の自治州化、独立」を一貫して掲げ、東アジアの平和と自治確立を求めて出馬する。「東アジアおよび琉球の自治に関する条約」構想を打ち出し、旧琉球地区の非武装地帯化や、在沖米軍基地の九州以北への移転、日米合同委員会の廃止などを提唱している。
1972年の沖縄の本土復帰以降、過去14回行われた沖縄県知事選挙における候補者数は、これまで「4人」が過去最多。従来の「オール沖縄」対「自公保守」という単なる対立構図にとどまらず、主要陣営が「県民党」をアピールして政党色を抑える一方、独自の社会課題や専門分野、思想を掲げる新人が乱立する複雑な様相を呈している。物価高対策や子育て支援、医療・福祉の充実、離島振興の具体策、そして米軍基地問題や外交・安保政策など、沖縄が直面する多角的な課題に対し各候補が示す将来像が有権者の大きな判断材料となる。
宮古島市をはじめとする離島地域においては、医師不足への対応や急激な物価高への対策、一次産業(サトウキビ・畜産業)への支援などが死活問題だ。
国と県、あるいは地域と行政の関係性が問われる中、多様な背景と政策を持った6氏がどのような具体策を提示し、県民の審判を受けるのか、告示に向けた攻防は最終局面を迎えている。



