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障害、事故、交通空白…「シェアモビリティ」が抱える課題 乗り越えた先に日本の「新たな足」がある

ドコモ・バイクシェアは18日、7月末から8月にかけて発生したシステム障害について、原因や復旧までの経緯をまとめた報告書を公表した。

7月29日に返却手続きができないなどのトラブルが発生。同31日から8月1日に、あらかじめ予告していたシステムメンテナンスを実施した。しかし、1日の新システム移行後、全国で自転車の貸し出しや返却ができなくなり、4日にはサービスを一時停止。5日から段階的に再開し、13日に全国でのサービスを再開した。同社は、利用が集中した際にシステムの処理能力が不足したことが原因と説明している。

一連のトラブルを受け、SNSでは利用者から不満の声も相次いだ。スマートフォンひとつで利用できる手軽さから、街の移動手段として定着しつつあるシェアサイクル。その一方で、今回の障害は、便利なサービスを支えるシステムや運用の難しさを改めて浮き彫りにした。

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「便利」の裏側で何が起きているのか

シェアサイクルの課題は、システムだけではない。

代表的なのが、自転車の「偏在」だ。「借りたい場所に自転車がない」「返したいポートが満車」といった状況は、利用者の利便性を大きく左右する。需要に応じて自転車を別の場所へ移動させる再配置が必要となるほか、利用者の多い場所にポートを設けるためには、道路や公共用地などのスペース確保も欠かせない。

さらに、自転車本体の購入や修理、再配置、ポートの維持、システム運用など、サービスの裏側にはさまざまなコストが発生する。利用者の多い都市部では事業を拡大しやすい一方、地方では十分な利用者を確保できないケースもあり、地域によって普及に差が生じる可能性もある。

「自転車を借りれば、すぐに移動できる」。そのシンプルな利便性を維持するために、事業者側ではシステム、インフラ、運用、採算性という複数の課題と向き合う必要がある。

手軽さの裏に潜む「危険」

シェアサイクルや電動キックボードは、スマートフォンひとつで誰でも気軽に利用できる。その手軽さは大きな魅力である一方、利用者のモラルや交通ルールへの意識も問われる。

特に、飲酒した状態でシェアサイクルや電動キックボードを利用するケースも問題となっている。「ちょっとそこまで」と安易に利用できてしまうからこそ、便利さが危険につながる可能性もある。

自転車や電動キックボードは、使い方を一歩間違えれば、自分だけでなく歩行者や自動車など周囲を巻き込む事故につながりかねない。普段あまり自転車に乗らない人が不慣れな道路を走ったり、交通ルールを十分に理解しないまま利用したりすることも、事故のリスクを高める。

電動キックボードについては、2023年7月から一定の条件を満たす車両が16歳以上であれば運転免許なしで利用できるようになり、利用のハードルは大きく下がった。その一方で、交通ルールを守らない走行や事故など、安全面をめぐる課題も指摘されている。

「手軽に乗れる」ことは大きな魅力だ。しかし、その手軽さは、利用者の判断一つで危険にもなり得る。便利なサービスだからこそ、ルールを守り、周囲への配慮を持って利用するという一人ひとりの意識が欠かせない。

車や自転車などの移動手段を個人で所有するのではなく、複数の人で共有・利用する「シェアモビリティ」が社会に定着していくためには、サービスの進化だけでなく、それを利用する側のモラルもまた問われている。

バスが減る街、「次の足」はどこにある

それでも、シェアモビリティへの期待が高まるのには理由がある。

背景にあるのは、公共交通を取り巻く厳しい環境だ。地方ではバス路線の廃止や減便が相次ぎ、「交通空白」が社会問題となっている。しかも、こうした問題は地方だけのものではない。東京都内でも、運転手不足などを背景にバスの減便や路線の見直しが進み、これまで当たり前だった移動手段を維持することが難しくなっている。

そこで存在感を増しているのが、自転車や電動キックボードなどのシェアモビリティだ。

駅から目的地までのラストワンマイルや、公共交通ではカバーしきれない短距離の移動を補うことで、既存の交通機関を支える「新たな足」となり得る。

さらに、ライドシェアのように「人を乗せて運ぶ」サービスが加われば、移動の選択肢はさらに広がる。既存の公共交通を置き換えるのではなく、それぞれの弱点を補い合う。そんな交通のあり方が、少しずつ現実味を帯びている。

バラバラの「移動」をつなぎ、日本の新たな足へ

システム障害、安全性、採算性、交通ルール――。シェアモビリティが抱える課題は、決して少なくない。

だからこそ、それぞれのサービスを単独で発展させるのではなく、鉄道やバスなど既存の公共交通と組み合わせ、「地域の移動をどう支えるか」という視点が必要になる。

例えば、駅までの移動はシェアサイクル、長距離は鉄道、駅から離れた地域はライドシェア。それぞれをつなげることで、「交通空白」を補うことができる。また、移動手段がなくなることへの不安から免許を返納したくてもできない高齢者にとっても、シェアモビリティは新たな移動手段となり得る。

そのためには、自治体が保有する公園や公共施設、駅前の公共用地などをポート整備に活用し、鉄道事業者や商業施設など民間との連携も進めたい。さらに、複数の交通サービスを一つのアプリで検索・予約できれば、点在する移動手段をつなぎ、移動の選択肢を広げられる。

採算性の確保が難しい地域では、自治体や国が地域交通の一部として支える仕組みも欠かせない。安全面でも、利用者のモラルだけに頼らず、法の整備が必要な段階まで来ているだろう。

シェアサイクル、電動キックボード、ライドシェア。それぞれの課題を解決し、既存の公共交通ともつながったとき、これらは単なる「便利なサービス」ではなくなる。

いま日本が可及的速やかに解決すべきなのは、「移動できない」という問題だ。安全に、安定して、必要な人に届く仕組みをつくる。その先に、シェアモビリティが日本の「新たな足」として社会に根付く未来があるのではないだろうか。

文/加藤聡 内外タイムス編集部

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