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第2次トランプ政権発足から1年半 国際秩序を揺さぶり続ける「アメリカ・ファースト」

2025年1月20日の第2次トランプ政権の発足から1年半、ワシントンが繰り出すアメリカ・ファースト(米国第一主義)は、既存の国際秩序を揺さぶり続けている。

トランプ大統領が推進する急進的な関税政策、ベネズエラでの直接的な軍事介入、そして今日緊張が続くイラン情勢は世界の安定を揺るがす大きな要因になっており、トランプ政権こそが「世界最大の地政学リスク」と表現できよう。

中国だけを批判の対象にしていると見誤る…「経済的威圧」客観的定義の必要性

経済領域における最大のかく乱要因は、保護主義的な関税網の拡大である。2025年を通じて高水準に達した実効関税率は、2026年2月に連邦最高裁が国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく国別関税を違憲と判断したことで法的な急ブレーキがかかった。

しかし、政権はただちに1974年通商法122条を適用し、10%の全世界一律関税という形で通商摩擦を継続させている。この強硬手段は、同盟国を含む世界中の貿易相手国に深刻なコスト負担を強めており、結果として、主要国が米ドルへの依存や米国市場への一極集中を回避し、サプライチェーンの多元化を急ぐこととなった。

さらに、安全保障分野における主権尊重の原則を大きく揺るがしたのが、2026年1月に強行されたベネズエラへの直接的な軍事行動である。「南方の槍作戦」の一環として、首都カラカスへの空爆を実施し、ニコラス・マドゥロ大統領らを拘束することに踏み切った。

ワシントンは麻薬密輸阻止や民主化を大義名分とし、事実上の影響力を行使しているが、この一方的な武力行使は、中南米諸国のみならず世界中の国家に「大国の恣意的な主権侵害」に対する強い警戒感を植え付けた。

米国一極構造から多極化へ移行する転換点

こうした力による単独主義は、中東地域において決定的な対立を生み出している。2025年後半に1度はガザ停戦合意を取り付けたものの、2026年に入りイランへの本格的な軍事作戦へとかじを切り、今日でも緊張が続いている。

この一連の動きはホルムズ海峡の緊迫化と石油・LNG危機を招き、長年エネルギー安全保障を米国のコミットメントに依存してきた日欧などの同盟国に対し、自国の死活的利益がワシントンの予測不可能な政策変更によって脅かされるリスクを痛感させる結果となった。

これらの単独行動は、米国がグローバルな公共財の提供者であることから離脱し、同盟や軍事力を自国の交渉カード(てこ)として消費している実態を示している。その結果、欧米やアジアの伝統的同盟国は戦略的自律の重要性をかつてないほど認識し始めている。

同時に、グローバル・サウスと呼ばれる新興国群も、米国に過度に従属するリスクを回避すべく、多角的なネットワーク構築に動いており、トランプ政権がもたらした激震は、世界秩序が米国一極構造から本格的な多極化へと移行する歴史的な転換点を決定付けようとしている。

こうした動きに対し、米国内では「同盟国のただ乗りを防ぎ、国益と国民の安全を守る現実的な外交成果だ」として支持する声も根強い。一方で、従来の多国間枠組みに依存してきた同盟諸国が、自立的な防衛・経済秩序の模索を迫られているのも事実である。

トランプ政権が突きつける自国ファーストの変革は、国際社会に対して依存からの脱却と自助努力を促す契機ともなっており、世界は新たな勢力均衡と協調の形を模索する過渡期を迎えている。

文/和田大樹 内外タイムス

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