W杯で日本がチュニジアに勝った日曜の昼、渋谷スクランブル交差点で起きたこと
21日に行われたサッカー・ワールドカップの日本対チュニジアでは、日本がチュニジアを圧倒する形で4-0で勝利した。大会で初ゴールを決め、ダメ押しの4点目も決めた上田綺世をはじめ、攻撃陣も守備陣も徹底して役割を発揮。チュニジアからのシュートを2本に抑え、枠内シュートに至っては0本。日本サッカー協会名誉総裁の高円宮久子さまも見守る中、ワールドカップ1000試合目となった記念マッチで、日本代表は見事な結果を残した。
現地時間では20日の22時、日本時間では21日の13時に開催された試合だが、渋谷スクランブル交差点では、後半戦が始まってから警察が交通規制などの準備を行っていた。言うまでもなく、試合後にサポーターらがスクランブル交差点に集まるのを警戒しての動きだ。
「DJポリス」による通行人・車の運転手らへの往来に関する呼び掛けは、試合終了前から行われていた。また、FNNとテレビ朝日がYouTubeで配信しているライブカメラには、それぞれ数千人の視聴者が集まっており、良くも悪くも高い関心を寄せられているように見えた。
試合終了直後、配信者と思われる人物が試合結果を叫び、「準備はいいか」「お祭りが始まるぞ」と周囲に呼び掛ける。「(信号が)赤になったら戻るよ」「(歩道と車道の境目を指して)ここがオフサイドライン」などと述べ、ルールを尊重した言動を見せていたが、青信号になると人々が各方面から一斉に中央へと集まっていく。
試合が終了してから十数分が経過すると、渋谷センター街や神宮通り方面からも人がなだれ込んできた。MIYASHITA PARKなど、複数の施設で行われていたライブビューイング会場の人々が集まってきたものと思われる。このエリアにおける人口密度は急激に上昇し、体感では30度を軽く超えているようだった。スターバックスSHIBUYA TSUTAYA 2F店などの一部施設では、この人だかりにスマホなどを向けて眺めている人もいた。
海外では、赤信号になったら歩道に戻る観衆たちの姿が素晴らしいと評価されている。しかし、これだけの人数が集まっているということもあってか、赤信号のタイミングで歩道に「戻りたくても戻れない人」が増えていく。
警察からの注意を守らない人も、わずかながら存在した。基本的には「(肩車から)降りてください」「それぞれの方向へ進んでください」など、お願いベースでの呼び掛けが行われたが、中央で水を散布する男性などが現れると「物を投げるのはやめなさい」「水をまいている皆さんは直ちにやめなさい」と、語気を強める場面があった。
「ポイ捨てしたら罰金」のはずが
変化したのは警察の言葉遣いだけではない。試合終了から1時間が経過すると、地面からガシャガシャという音が響き渡るようになった。音の発信源はペットボトルである。
渋谷区では今月から「渋谷区ポイ捨て禁止ルール」が制定され、路上にゴミを捨てた場合は2000円の過料を支払うことになる。だが、確認しただけでもペットボトル12本、プラスチック製のカップ11個、ビールの空き缶4本、ガラスの瓶1本が落ちていた。一方で、過料の処罰を受けている人もいなかったようだ。
最終的には清掃業者らがゴミを片付けたとみられるが、大衆に交じって大騒ぎをしていた配信者の1人が、自撮り棒とビニール袋を器用に持ちつつ、清掃作業を行っている姿も見かけている。
16時前後、取材を続けていた報道関係者が「疲れた」と口にしているのを耳にしたが、この直後から突然熱気が収まり始める。「バモニッポン」のリズムで太鼓を鳴らす人はいるが、掛け声を発する人はいない。
周りを見渡すと、サムライブルーのユニフォームを着た人々が明らかに減っていた。横断歩道に沿って規制線を張ったり、「DJポリス」として周辺に呼び掛けを行ったりしていた警察官たちも、少しずつ撤収作業に入る。
異様な熱気を発していた空間は落ち着きを取り戻し、いつものにぎやかな渋谷に戻った。信号が切り替わる直前でスマートフォンを落とす、信号が切り替わった交差点で車が立ち往生するなど、大小さまざまなトラブルも発生していたが、負傷者が出なかったことは不幸中の幸いと言えるかもしれない。
文/池田聖人 内外タイムス編集部


