#19 村井友秀「日米同盟を強化する方法」

日米同盟を強化する方法 東京国際大学特任教授 村井友秀

 国際法を無視する核兵器保有国に囲まれた日本の安全保障にとって、世界最強の軍事大国である米国との安全保障条約は絶対条件である。同盟が実際に機能するかは、同盟に参加する国の軍事力・経済力の強さと、同盟する国を助けようとする国家の意思で決まる。

 軍事力を見ると、米国の同盟国の軍事力世界ランキングは、韓国5位、英国6位、日本7位、トルコ8位、イタリア10位、フランス11位、ドイツ14位、豪州16位、フィリピン41位である。米国の同盟国の中で日本の軍事力は比較的高く、米国の日本に対する期待は高い。同盟国の経済力世界ランキングは、ドイツ3位、日本4位、イギリス5位、フランス7位、イタリア7位、韓国12位、豪州14位、トルコ18位、フィリピン34位である。日本の経済力は高く、日本の役割に対する米国の期待は高い。日本への期待が高ければ、米国は日本の言うことを聞く。

 また、同盟が機能するためには、同盟国間に①共通の敵、②共通の価値観が存在することが必要である。現在、日米両国政府は中国を最大の脅威と考えている。今、中国共産党は世界の現状を変えて中国の「勢力圏」を拡大しようとしている。現状を維持したい中国周辺諸国にとっては脅威である。中国の新聞には「収回琉球、解放沖縄」という記事が載った。日米両国の世論調査を見ても過半数の国民が中国を最大の脅威と感じている。日米同盟には共通の敵が存在する。

 日米両国には共通の価値観が存在するか。日米安保条約には「日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動する」と書いてある。この意味は、トランプ大統領によれば「日本が攻撃されれば、米国は命をかけて日本人を助けるために戦闘に参加する。」、「しかし、米国が攻撃されても日本は私たちを助ける義務は全くない。日本人は米国への攻撃をソニーのテレビで視ているだけだ」ということになる。トランプ大統領と日本政府の価値観は異なっている。日米同盟が共通の価値観を持つ強力な同盟であるためには、トランプ大統領を選んだ米国の大衆(エリートではない)が共感し支持する必要がある。「神は自ら助くる者を助く」という神の教えを信じる米国の大衆を説得するためには、日本も「自分の国は自分で守る」という決意と覚悟を示すことが望ましい。

むらい・ともひで 1949年生まれ。1978年東京大学大学院社会学研究科国際関係論博士課程退学。米国ワシントン大学国際問題研究所研究員を経て、防衛大学校国際関係学科教授。2015年退官後現職。日本防衛学会名誉会長。主な著書に『失敗の本質』『中国をめぐる安全保障』『戦略の本質』『戦略論大系7毛沢東』『現代の国際安全保障 安全保障学のフロンティア』『日中危機の本質』等多数がある。平和安全保障研究所奨学プログラム2期生、平和・安全保障研究所監事・研究委員。

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