農薬濃度と子どもの健康に相関 宮古島地下水研究会が分析 緊急対策を提言

 宮古島地下水研究会はこのほど総会を開き、本市の水道水に含まれるネオニコチノイド系農薬「クロチアニジン」の濃度と、市内の子どもの健康指標や出生データに関する統計学的分析レポートと将来予測結果を公表した。分析では、農薬供給量や水道水濃度と「自閉症・情緒障害児在籍率」「自然死産率」「小学校男子高度肥満率」との間に強い正の相関関係が確認されたとのこと。同研究会は、このまま対策を放置すれば地域の教育や周産期医療体制が重大な危機に直面すると警告し、早期の浄水施設整備や家庭用浄水器設置の公費補助といった緊急対策の実施を強く訴えている。

 同研究会が提示した分析データによると、市内の水道水中クロチアニジン平均濃度は2022年の30ナノグラム(1リットル当たり)から、2026年には131ナノグラム(1リットル当たり)と、わずか4年で約4・4倍に急増したことが示された。
 このことから、統計的交差相関分析により、農薬暴露から健康影響の発現までに「時間差(タイムラグ)」が存在することが明らかになった。また、自然死産率は即座(ラグ0年)に影響を受けるのに対し、男子高度肥満率は3年、特別支援学級等の自閉症・情緒障害児在籍率は5年のタイムラグを経て顕著に数値へ反映される傾向が判明したという。

 数理モデルおよびAIを用いた10年後の未来予測シミュレーションでは、現在の農薬供給や水道水濃度が高止まりした場合、自然死産率が29.3‰(出生千人当たり)と、過去最悪水準へ悪化するほか、小学校男子の約3人に1人が高度肥満となり、小中学校の自閉症・情緒障害児在籍率が全体の約3割に達して学校現場や医療インフラが破綻する「最悪シナリオ」が提示された。

 8月28日に開かれた同研究会の総会において、今後の共同代表には前里和洋氏(宮古総合実業高校・教諭)と、新城竜一氏(琉球大学理学部・教授)が再任された。共同代表の一人、友利直樹医師は顧問に就任することが決まった。
 友利氏は「長年の臨床経験と直感から発してきた警鐘が統計学的に裏付けられた。数理モデルが示す未来は恐怖を煽るためではなく、最悪の事態を避けるための警鐘だ」とコメントした。
 その上で「10年後の宮古島を守るためには今すぐの決断が必要で、特に高機能活性炭浄水処理施設の2028年度までの整備・稼働はデッドラインだ。完了までの暫定措置として、妊婦や乳幼児のいる家庭、保育所、学校へ農薬除去可能な浄水器の設置・維持費を市が全額補助すべきだ」と強く訴えた。
 友利氏は顧問の立場から、引き続き医師として子どもの健康影響の監視を続けていく考えを示している。

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