#23 川上高司「台湾有事におこなわれる中国からの在沖米軍の介入」

台湾有事におこなわれる中国からの在沖米軍の介入 川上高司

 トランプ第2次政権の国防戦略(NDS)は8月末までに出される予定であるが、その骨子はすでに「暫定国防戦略指針」(Interim National Defense Strategic Guidance)で発表された。そこでヘグセス米国防長官は「中国による台湾占拠の抑止」と「米国本土防衛の強化」に焦点を当てている。同文書は、米国が中国との包括的戦略的競争を中核的優先事項に位置付けていることを改めて強調したものと見られる。

 現在米軍は2027年には中国の沖縄侵攻があると想定して実践配備を行っている。

 トランプ政権の台湾有事の想定は2027年とされ、そのための戦闘準備が着々と行われている。2027年は習近平が4期目に入る年であり、毛沢東と並ぶ終身指導者を狙う中で、悲願である台湾統一に向けた実績づくりが必要となる。過去、様々なシンクタンクで台湾有事のシュミレーションが数多く行われてきたが、現実には、中国は海洋封鎖とともにサイバー封鎖を行い台湾を孤立させ弱体化させ、エスカレーションし軍事封鎖へと展開することが想定される。

 その際、中国は台湾進攻と同時に米軍の本格的な介入を阻止するため、在沖米軍の活動阻止が試みられることは間違いない。沖縄には普天間基地、辺野古基地のみならずトリイ通信施設や慶佐次通信所といった主要な米軍施設が存在し、これらの基地機能を停止することが中国にとっての戦略目標となる。

 現時点ですでに、中国は隠密理に沖縄に対してノンキネテイックの分野ですでに戦略情報収集の段階に入っている。たとえば、昨年10月には日本の海洋データセンターから海図などの情報が漏洩し、小規模勢力上陸のための作戦データは漏洩している。

 現時点ですでに中国は沖縄のみならず日本国内で混乱をもたらすゲリコマ活動可能な状況にある。特に、中国は台湾有事に連動した沖縄工作に資する具体的な行動の段階に入っている。早くて2026年の春もしくは秋にでも中国軍が行動する可能性も否定できない。また、中国は小規模部隊による重要施設の破壊工作のために小型ドローンを使用する。レーダー、変電施設など、弾薬庫、司令部等の固定目標を事前のプログラミングにより自動的に攻撃・同時弾着可能となる。

 これらの攻撃に対して日本にはレジリエンス構築のタイムラインはない。いかにしてレスポンスを早くしてダメージコントロールを行うかが問われている。もし、日本にその能力がなければ、米軍がウクライナに展開したハンド・フォワードチームを受け入れることが必要となろう。

かわかみ・たかし 1955年熊本生まれ。元拓殖大学教授。現在、中央大学法学部講師、一般社団法人日本外交政策学会理事長、石破内閣で外交安全保障担当内閣官房参与を兼務。大阪大学国際公共政策博士、ジョージタウン大学留学、米フレッチャースクル研究所研究員、ランド研究所客員研究員を経て、中曽根世界平和研究所研究員、海部俊樹元総理の政策秘書、防衛省防衛研究所主任研究員、北陸大学教授から拓殖大学海外事情研究所所長を経て現職。その間、外務省の国際問題研究所客員研究員、神奈川県庁参与、参議院外交防衛委員会客員調査員、TBS News Bird特別キャスターを兼務。

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