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経年推移により赤色の中国製ブイが目立つようになった(山口氏提供)

9割以上の廃プラ年々増加 宮古・池間調査 人体影響にマイクロ化懸念 防衛大名誉教授・山口氏 海洋漂着ごみ対策提言

 防衛大学名誉教授の山口晴幸氏がこのほど、宮古新報を訪れ、4月に実施した先島諸島での海洋漂着ごみ調査の結果を報告した。今回は、宮古島と池間島の12海岸で7日間の調査を実施。海洋漂着ごみ、特に廃プラスチック類の増加とマイクロプラスチックの問題について詳細な分析を行った。山口氏は、「海岸のマイクロプラスチックの軽減防止には、海洋廃プラスチックの回収除去が最も効果的」と述べ、公的組織をベースにしたごみ専属組織の設立を提言した。

山口氏の調査資料


 山口氏は先島諸島での海洋漂着ごみ調査を1988年から継続している。山口氏によると、海洋漂着ごみの80%以上が外来の海洋越境ごみであり、その大部分を中国製のプラスチック製品が占めている。
 この問題は、宮古諸島の特異性に起因するもので、半永久的に持続可能な回収除去システムの構築が求められている。また、マイクロプラスチックは生態系への影響が深刻で、食物連鎖を通じて人間にも影響を及ぼす可能性があることから、その調査と対策が急務であるなどと指摘した。
 今回の宮古島と池間島で行われた調査では、マイクロプラスチックを含む漂着ごみのカウント調査と、マイクロビーズの実態解明を目的とした調査が実施された。この調査により、マイクロプラスチックの現存状況や形態、種類などが詳細に検証された。
 山口氏はこの問題への対策として、「海岸におけるマイクロプラスチックの軽減防止に最も効果的で実践的な水際対策は、海洋廃プラスチックの停滞および放置を許さない回収除去に尽きると言える。今回の調査結果から判断して、回収除去活動における計画的な実施や頻度、規模が公的組織をベースにしたごみ専属組織設立が必要だ」と提言した。
 山口氏は続けて「海外では14年ごろからマイクロビーズ使用規制が始まり欧米等ではマイクロビーズを含む製品の製造流通販売を禁止している。日本は割と規制が緩いが、それを是としてはならない」と訴えた。
 山口氏は特に、マイクロプラスチック問題は、地球規模での環境問題として、国際的な協力と取り組みが求められる課題だと強調した。

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