平良港の長期的な構想を審議した第3回検討委員会 =平良港ターミナルビル

クルーズ拠点の機能拡充 平良港の30年先描く

 宮古島市は13日、平良港ターミナルビルで第3回「平良港長期構想検討委員会」を開催し、国際クルーズ拠点の機能拡充などの構想を取りまとめた。同委員会は平良港を取り巻く社会情勢の変化を踏まえた上で、20~30年先を見据えた長期的な視野で総合的な港湾空間を検討するもの。構想を座喜味一幸市長に報告し、今年度中に発表する。2023年度は長期構想に基づき、10~15年先を目標年次とする港湾計画の改定作業を行う予定。
 平良港は1972年の本土復帰と同時に中央港湾に指定され、宮古圏域の物流・人流の拠点として重要な役割を果たしてきた。08年に改定された現行の港湾計画に基づいた整備が進展している一方で、改定以降に平良港を取り巻く社会経済情勢は大きく変化している。変化を踏まえた上で同港の長期的な姿を描く目的で、長期構想をまとめた。
 構想では同港を宮古圏域が抱える課題を克服するための最も重要な社会資本のひとつとして、生活・産業を支える物流▽東アジアにおけるクルーズ寄港地としての交流▽災害時に生活や経済を支える防災▽持続可能な地域を実現するエネルギー供給―などの拠点といった役割を想定。
 同港では22万㌧級に対応したクルーズ船専用岸壁の供用が開始されているほか、漲水地区で延伸工事を行っている耐震バースも貨物船とクルーズ船双方に対応する計画。コロナ禍で外国からのクルーズ船受け入れは停止しているが、アフターコロナを見据えた再開が検討されている。
 長期構想案ではクルーズ拠点としての将来像について▽海外との定期便が定着し年間を通じてクルーズ船が寄港▽下地島空港を活用したフライ&クルーズが進展▽クルーズの活性化に伴い宮古圏域の国際観光化が進展―すると設定。
 寄港数の増加に対応するため、現在供用開始または整備が進んでいるバースに加え、新たなクルーズ船専用岸壁を増設する戦略を描く。10万㌧超級の同時帰港への対応を可能とし、世界を周遊する船も寄港する知名度の高い国際港としての地位確立を目指す。
 構想に基づき23年度、国土交通省と意見交換しながら平良港港湾計画の改定を検討。審議会諮問や大臣への計画提出を経て、概要を公示する予定。

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