出演者全員が舞台いっぱいに「豊年世ぬクイチャー」を披露した =27日、マティダ市民劇場

伝統と新たな芸能融合 「宮古の芸能選」観客、多彩な舞台堪能

 宮古に根づく芸能文化を中心にエンターテイメント性を表現する「宮古の芸能選~太平に踊ら 太平に舞ら」が27日午後、マティダ市民劇場で催され、琉球舞踊穂花会・宮古舞踊んまてぃだの会、久田流家元・久田多嘉子舞踊研究所、唄・三線の與那城美和さん、宮古島創作芸能団んきゃーんじゅくの4個人・団体が伝統と新たな芸能が融合した魅力あふれる演目を次々と披露し、詰めかけた観客は多彩な舞台を堪能した。
 「雨乞いのあぁぐ」の唄と踊りで幕開けした舞台では、久田流が先代家元の久田カナさんが振り付けした舞踊「トーガニアヤグ」「なりやまあやぐ」、穂花会が亀浜律子家元による「大世栄(うぷゆうぱい)」や「多良間世」「棒踊り」、與那城さんが「かぎ年ぬアーグ」の独唱、んきゃーんじゅくが創作クイチャー「民衆の躍動」とエイサー「中立ちぬミガガマ」などを披露した。
 また、久田カナさん創作の「家庭和合(きないわごう」を基本に若者が宮古方言に興味を持てるように亀浜さんがアレンジし、宮古民謡やオトーリソングを織り交ぜて構成した公演団体出演者による演目では観客はユニークな踊りに笑い、手拍子を送った。
 池間りつ子さん(日本舞踊藤間流藤間凰太郎会主)が振り付けた宮古では馴染みの深い「久松五勇士」を池間さんが監修し、穂花会の川満香多さんが振り付けた勇壮な踊りには会場から大きな拍手が送られた。フィナーレでは出演者全員が舞台いっぱいに「豊年世ぬクイチャー」を躍動感溢れる手踊りで表現した。
 公演は美ら島おきなわ文化祭2022の一環で、宮古島市実行委員会が主催。会長の座喜味一幸市長は「演じる側と鑑賞する側が一体となり、すべての世代が舞台を共有することで、未来の宮古島の芸能文化を発展させる一助となれば幸い」とあいさつを寄せた。
 今回の宮古島市での舞台は那覇や京都の公演に続くもの。演出の亀浜さんは「民俗芸能クイチャーの心が根強く受け継がれる島に、宮古芸能の発展を求め、創作発表する団体、個人が集まった。舞台芸能としての文化芸術に向け、一歩二歩表現したい」とあいさつ。んきゃーんじゅくプロデューサーで監修の前里昌吾さんは、「水」をテーマに全体をプログラムしたとし、クイチャーを「水不足の過酷な状況から生まれた祈り、唄、踊りの象徴と位置づけた」と説明した。

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