村民らは伝統を守り、パイジュニの祭場で豊年を祈願した =8日、字塩川の祭場

多良間村スツウプナカ 受け継がれた伝統守る

【多良間】多良間村の伝統祭祀(さいし)「スツウプナカ」が8日、島内4つの祭場で行われ、新型コロナ感染対策のため本来3日間の予定を規模縮小し初日の「暁の願い」のみ行われた。村民らは古くから受け継がれた伝統を守り、各座で準備された神酒や刺し身を祭場に供え、豊年への感謝と祈念を捧げた。
 このうち字塩川のパイドゥニの祭場では供物の魚を用意し北組と南組に分かれる「海人座」、神酒を作り行事の中心となる「ブシャ座」、祭場の設営などを行う「中老座」、調理を行う「クバン座」などに分担し祭りを進行した。
 この日午後10時半ごろに中老座拠点の大木公民館に供物が届けられた。集まった祭りの中心である長老らに見守られるなか、伝統にそって神酒や泡盛、料理が盆に並べられた。
「暁の願い」は深夜12時ごろからパイジュニの祭場で行われ、悪天候のなか長老らは神酒や料理などを供え手を合わせた後、全員でニイリを歌った。
 パイジュニのブシャ座をつとめる比嘉清作さんは「3年連続の縮小となり残念だが、無事に祭りを終えることができて良かった。来年こそ普段通りに祭りを行いたい」と笑顔を見せた。
 祭りがいつの時代に始められたかは定かでないが、島の指導者だったウイグスクカンドゥヌが畑を荒らす動物を追い払ったところ「我々は竜宮神の使い。お前たちは作物を作るのは上手だが神々への感謝を知らない。毎年収穫後初のものを供え感謝しなさい」と言われ、祭りが行われるようになったとの伝承がある。

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