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GMO熊谷社長が「命の砂時計」と言った意味 マスコミの体面が生む「同じ質問」の繰り返し

GMOインターネットグループの熊谷正寿会長兼社長が記者会見で述べた「命の砂時計」という言葉が、ネットで笑いものになっている。

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2日、不正アクセス問題について開かれた記者会見は約3時間半に及んだ。熊谷社長は、自分の人生をインターネット事業にささげてきたと説明する中で、この独特の表現を繰り返した。Xのトレンドにも入り、「命の砂時計ワロタ」「命の砂時計何回言うねん」といった反応が相次いだ。

しかし、会見動画と当日の新聞記事を見比べると、熊谷社長が記者に「同じ回答をすると皆様の命の砂時計を無駄遣いします」と述べ、別の質問を求めたくなった事情も理解できる。

日経の「一問一答」に載らなかった発言

会見では、2024年にグループ会社からシステムのぜい弱性を指摘されながら、十分な対策が取られなかったことについて質問が相次いだ。

日本経済新聞は、この会見を「GMO熊谷社長『2年前の指摘、私が介在すべきだった』 会見の一問一答」と題する記事にまとめた。冒頭には、次のやりとりが掲載されている。

――2024年のぜい弱性の報告はどの階層まで上がっていたのか。

熊谷氏「事業トップまでは当然上がっていた。伊藤正、山下浩史(両グループ副社長)は認識していたと理解している」

この一問一答だけを読むと、熊谷社長本人が2024年の指摘をどう受け止めていたのかは分からない。しかし、会見のYouTube動画と見比べると、別の事実が見えてくる。

会見開始からおよそ1時間半が経過したところで、テレビ東京の女性記者が、グループ会社からの指摘を十分な対策に生かせなかった背景を質問した。熊谷社長はグループ内の報告基準を説明したうえで、

「今回の件は、結論、私のところにはエスカレーションされていなかったというのが事実でございます」

と述べ、「私はこの件は、この事件で知った」と説明した。

その約40分後に質問に立ったのが、日経の記者である。

自社記者の質問を載せる慣行と、繰り返される質問

「先ほど熊谷社長のエスカレーションは、報告は自分のところに上がってなかったとおっしゃったんですけども」

そう前置きしたうえで、2024年の報告がグループ幹部のどこまで届いていたのかを尋ねた。日経の一問一答は、このやりとりと一致している。

日経の質問は、テレビ東京の記者が引き出した回答を踏まえた掘り下げだった。ところが、その前提となった「社長には報告が上がっていなかった」という発言は、この一問一答には含まれていない。

読者が一問一答に期待するのは、「会見で何が明らかになったか」であって、どの社の記者が質問したかではない。事実、日経は別の記事で、熊谷社長に報告が上がっていなかったことを伝えている。

ところが、この「一問一答」は、会見全体ではなく、自社記者の質問だけで構成されている。そこから見えてくるのは、「自社の記者が会見で聞いた」という形を優先する、新聞社や記者の体面のようなものだ。

こうした事情は、会見で質問が繰り返される背景にもあるのではないか。他社の記者がすでに質問していても、自社記者の質疑として記事にまとめるために、改めて同じような質問をする。もちろん、先行する回答をさらに掘り下げる質問には意味がある。今回の日経記者の質問も、報告がどの幹部まで届いていたのかを確認するもので、単なる繰り返しではなかった。

ただ、各社が自社記者の質問にこだわれば、似たような質問が繰り返され、会見の時間も長くなるだろう。

熊谷社長自身も、会見でAIの脅威や経営理念について約30分間語っており、時間を費やしたのは記者側だけではない。それでも、すでに答えた質問を繰り返されれば、限られた時間を無駄にしたくないと思うだろう。

「命の砂時計」という言い方は大げさかもしれないが、そう言いたくなる気持ちも少し分かる。

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