GACKTがいても1億円を配っても… 終了するコミュニケーションアプリ「POPOPO」に足りなかったもの
コミュニケーションアプリ「POPOPO」が15日、サービスの終了を発表した。3月18日にリリースされたが、9月17日をもってすべての機能を終了するという。
「カメラのいらない通話アプリ」というコンセプトで配信された同アプリは、通話者が事前に設定したアバターが、音声通話に合わせて動くという特徴を持つ。アバターを介してコミュニケーションを楽しむツールはVRChatなどが代表的だが、POPOPOはVR関連の機材を必要とせず、スマートフォンだけで手軽にコミュニケーションをとれる。
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ドワンゴの創業者であり、POPOPOの取締役も務める川上量生氏が全額出資して会社を立ち上げ、取締役にはエヴァンゲリオンシリーズの作者である庵野秀明氏、歌手のGACKTらが名を連ねた。川上氏は庵野氏、GACKTと長年交流があり、リリース日に行われたサービス発表会では、人望の厚さも感じられた。
現在はコミュニケーションツールがあふれかえっている状態だ。POPOPOにとって直接的なライバルとも言えるVRChatだけでなく、日本ではX(旧Twitter)が圧倒的シェアを誇り、FacebookやInstagramが続く。仕事ならSlack、日常生活ならLINE、ゲーム好きならDiscord、開発者ならGitHubがあり、このほかにもBeRealやMIXI、SHOWROOM、YouTubeといった大小さまざまなコミュニケーションツールが存在する。
POPOPOはこれらのサービスにいる人たちを取り込み、サービスを成長させていかねばいけなかった。国内シェア1位といった壮大な目標は掲げていなかったかもしれないが、人と人をつなげるサービスを展開していく以上、ある程度のシェア獲得は必要要件でもある。
配信初日こそApp Storeの無料アプリランキングで1位を獲得し、一時的ではあるがChatGPTなどのサービスよりも人気のアプリになった。スタートダッシュ自体はうまくいったが、ここにはカラクリがある。
「1度だけ1人に1億円」の劇薬
POPOPOはユーザー獲得の施策として、アプリの通話機能を使った人を対象に、1人に1億円を進呈するキャンペーンを発表。総額1億円を複数人で山分けしてプレゼントといったキャンペーンが多い中、1人にだけ賞金を集中するというキャンペーンは、局地的に大きな反響を呼び起こした。
しかし、このようなキャンペーンは「人の獲得」を目標にするのではなく、定期的に実施して「人を定着させる」ことを目標にしなければいけない。1度だけのキャンペーンで参加した人は、キャンペーン終了後に離脱するケースが多い。Xでさまざまな企業・団体が実施してきたフォロー&リポストキャンペーンでも、施策を1度だけ実施して大量のフォロワーを獲得したものの、ブランド認知力の向上やユーザー獲得の役に立たなかったという例を何度も見聞きしてきた。
1億円プレゼントキャンペーンをめぐっては、お笑いコンビ・令和ロマンの高比良くるまをCMキャラクターとして起用したが、高比良はPOPOPOに関する投稿をXで1度しか行っていない。6月には当選者が決定し、匿名のインタビューも公開されていたが、「使い道は決まっていますか?」「今後もPOPOPOを使いますか?」といった質問に、定型文のような返答が記載されているだけ。せっかく注目された施策は、悪い意味でとても穏やかに終了した。
サービス内容も気になる部分はあった。音声アプリとしてリリースされたはずだが、実際にアプリに触れてみると「配信アプリ」として稼働しているような部分も見かける。また、前述のとおりGACKTが取締役に就任しているが、アプリ内で音楽を楽しめる「チャンネル」の紹介は、アイドルグループのFRUITS ZIPPERなどが所属するASOBISYSTEMの楽曲を強調して宣伝している節があり、GACKTの存在を生かしきれていないようにも思えた。
「人間が作る最後のSNS」というキャッチコピーも付けられていたPOPOPO。確かに、今後通話アプリ・SNSアプリを新たに作っても、人を大量に呼び込めるという絶対的な自信がない限り、新規のSNSを作ることは難しいのかもしれない。
文/池田聖人 内外タイムス編集部






