台湾が韓国を抜き低出生率0.695の衝撃 その驚くべき対策と台湾有事への影響は
少子化は、この世界の現代病といっていい。
先進国も、新興国もそろってこの病にかかっている。
東アジアでは、日本が先陣を切って少子化入りを果たし、次に深刻化したのはお隣の国、韓国だ。
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しかし、2025年、主役が交代した。台湾だ。合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの推定数)が、韓国が2023年に記録していた0.72を下回り、0.695を記録した(出典:台湾内政部)。
なぜ、こんなことになってしまったのだろうか。
2026年に入って、このままだと今年の台湾の出生数は8万人台(台湾の人口は約2300万人)に落ち込むと警鐘を鳴らし続けた医師がいる。
台湾婦産科医学会の黄建霈秘書長だ。台湾では、メディア出演も多く、少子化問題の権威である。彼が言うにはこうだ。
「『文化的な価値観の変化』です。結婚や出産が、もはや人生の理想を実現するための手段や、社会・個人が期待する『必須の選択肢』ではなくなってしまいました。それどころか、若者の間では『結婚せず子どもも持たなければ、一生ハッピーに暮らせる』『子どもを産むなんてバカじゃないの?』といった声すら聞かれます」(同氏)
こういった理由に加え、高すぎる住宅費や低賃金も重なり、経済的負担が増し、子どもを育てる余裕などないという理屈になるというわけだ。
「多くの若者が『キャリアや学業に影響が出る』『経済的に未熟だから』という理由で出産をためらっています。しかしすべての条件が整うのを待っていては高齢出産になり、妊娠の難易度やリスクが跳ね上がります。国は若者が『まず子どもを産み、その後に自分の夢を追いかけられる環境』を整えるべきです」(同氏)
兵役と同じく出産にも加点を
具体的には、どうすれば現状を打破できるのか。
「兵役は国家への貢献として、進学時(試験など)の加点対象になります。ならば、出産も同じように優遇されてしかるべきではないでしょうか?定員外枠を設けてもいいです」(同氏)
台湾には徴兵制があり、18歳以上の男子に1年間課される。また、現在の各種手当や一時金(計10万台湾元程度)では到底足りないとして、1子につき300万台湾元(約1300万円)を支給するべきとも提言している。
「子どもが成長して45年間働けば、生涯で700万〜800万元の税金を国に納めることになる。その他にも消費活動を通じた経済効果があるため、国にとってこれほどリターンの大きい投資はない」(同氏)
最後に少子化が台湾有事にもたらす影響を聞いた。台湾の国防部が設立した国防シンクタンク、国防安全研究院は少子化が兵力減少を招き、中国への抑止力を低下させるリスクを訴えている。
「少子化が兵力(兵源)を減少させるのは事実ですが、現代の戦争の形態はすでに大きく変化しています。人員の多寡が必ずしも勝敗を決める鍵ではなく、精良な武器、優秀な人材、そして正しい戦略と戦術があるかどうかのほうがはるかに重要です。これは産業についても同様です。その産業の各部門に『どれだけ優秀な人材が実際に投入されているか』のほうが、その年に産まれた人口が多くても彼らがその産業に入ってこない状況よりも、はるかに重要なのです」(同氏)
台湾現地でも意見の分かれるところなのだ。
どちらにせよ、どの国も少子化は避けられないと言われて久しいが、台湾の政策提言が採用され、成功したら面白い。
文/神田桂一 内外タイムス






