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中国産に「宇治」表記のニセモノ商品…世界的な抹茶ブームの陰で異変も

日本の「抹茶」は、今や世界の「MATCHA」になっている。ニューヨークにもMatcha Café(抹茶カフェ)が何店舗もある。

緑茶の輸出実績(財務省貿易統計)では、2025年は721億円で過去最高となり、抹茶を含む粉末茶が8割を占める。2019年は146億円だったので、わずか6年で約5倍に伸びた。

欧米での抹茶人気は、健康志向によるところが大きい。カテキンなどの豊富な抗酸化成分に加え、カフェインとテアニンの組み合わせによる「穏やかな集中力の持続(マインドフルネス)」がストレス社会にマッチした。コーヒーの代わりとして「抹茶ラテ」などが定番メニューになっている。

また、食品だけでなく、抗酸化作用を期待したスキンケア化粧品、コスメ、さらには「Matcha」の香水など、ビューティー業界にもクリーンビューティーの象徴として広がっている。

この世界的な需要の急増は、日本の茶農家や市場の構造を大きく変えつつある。抹茶の原料となるお茶「てん茶」の需要が跳ね上がったため、国も補助金を出すなどして、従来の「煎茶」から「てん茶」への栽培転換を後押ししている。京都の入札会では価格が3倍に高騰するなど、担い手不足に悩む茶農家はちょっとした好景気になっている。

宇治抹茶のブランディング化が必須

しかし、多くの茶農家がてん茶の生産にシフトしたこと、また高齢化による茶畑全体の減少が重なり、皮肉にも日本人が普段飲んできた家庭用の煎茶が品薄になり、ペットボトルのお茶にも価格上昇の影響が起きている。

市場拡大により、中国も加工用・製菓用の抹茶を中心に、急速に生産量を増やしている。ただ、中国産の抹茶商品に「宇治」の名を付けた模倣品が売られるなど、見過ごせない事態も出てきた。それらは京都で売られている本物よりかなり格安であり、「宇治ブランド」を毀損(きそん)している。

とはいえ、近年は中国産抹茶の品質も向上しており、日本の茶業界にとっては脅威になりつつある。日本の茶農家は「生産量では勝てない。今後、品質を高めていくしかない」と語る。

抹茶に限らず、食品名のブランディングには土地の名前は重要なキーになる。例えば、シャンパンは仏シャンパーニュ地方であり、チーズのカマンベールも仏カマンベール村に由来する。

農林水産省は2015年6月からGI制度(地理的表示保護制度)を設けており、これは、特定の地域を生産地としてその土地の気候や風土と結びついた品質や歴史をもつ産品の名称を登録する制度だ。越前がに、神戸ビーフ、夕張メロンなど全国で167産品の登録がある(今年3月現在)。

海外でもWTO加盟国等において、条約の規定による最低限の保護が受けられる。宇治という場所自体が品質の高いお茶の産地として有名なのだが、「宇治抹茶」はGI登録がないため、きっちりとしたブランド化が急務だ。

日本のお茶に関しては、味や品質だけでなく、「茶の湯文化」の影響も大きい。専門の道具で抹茶をたてる京都での“体験”はSNSでバズりやすく、付加価値として提供できるものだ。

世界的なMatchaブームは、一過性のトレンドを超えて、欧米やアジアなど地域ごとに独自のカルチャーと結びついて浸透しつつあるようだ。

文/横山渉 内外タイムス

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