• 全国
  • “世界一”まであと一歩 史上最強・バレー男子日本代表を「今」見てほしいワケ
  • HOME
  • 全国
  • “世界一”まであと一歩 史上最強・バレー男子日本代表を「今」見てほしいワケ

“世界一”まであと一歩 史上最強・バレー男子日本代表を「今」見てほしいワケ

破竹の勢いに、もはや陰りは見えない。世界の頂点は、すぐそこまで迫っている。

バレーボール男子日本代表は、開催中のネーションズリーグで開幕から12連勝を飾り、予選ラウンドを全勝で突破。29日に行われる準々決勝・中国戦へ駒を進める。

MVP、50-50、1000億円契約でも測れない大谷翔平の真価 先頭打者弾直後の“痛々しいダイヤモンド一周”

ネーションズリーグは、世界ランキング上位18カ国が集う世界最高峰の国際大会だ。約1カ月半に及ぶ大会期間中、各国は開催地を移しながら過密日程を戦い抜き、その先に待つ決勝ラウンドを目指す。長距離移動を伴う厳しいレギュレーションもあり、「真の世界一決定戦」と称されるにふさわしい舞台である。

世界ランキング4位の日本は、2023年大会で初の銅メダル、2024年大会では銀メダルを獲得し、着実に階段を上ってきた。そして今大会、悲願の初優勝が現実的な目標となっている。

「史上最強」と呼ばれるまでに積み重ねた改革

現在の日本代表は、まさに「史上最強」と呼ぶに値するチームだ。

その中心に立つのは、キャプテンの石川祐希、次世代のエース・高橋藍、左の大砲・西田有志という3人の主力。いずれも10代で日本代表デビューを果たし、若いうちから世界の舞台で経験を積んできた。

日本バレーボール協会は、この成功例を一つのモデルケースとし、有望な若手を積極的に代表へ招集。早い段階から国際経験を積ませる育成方針を推し進めてきた。

その流れをさらに加速させたのが、2022年に導入されたA代表・B代表による「2チーム制」だ。A代表がネーションズリーグや世界選手権、オリンピックなど最高峰の舞台を戦う一方、B代表はアジア選手権や国際大会で経験を重ねる。この体制によって、若手や代表当落線上の選手にも継続的な実戦機会が与えられ、代表全体の底上げが進んだ。

さらに2024年には、国内トップリーグがSVリーグとして新たなスタートを切った。「本格的なプロリーグ」を掲げて発足したSVリーグは、競技レベルだけでなく興行面にも大きな改革をもたらした。リーグ全体の競争力が高まり、選手一人ひとりが成長できる環境が整ったことで、日本代表の選手層はかつてないほど厚みを増している。

こうした改革が積み重なった結果、日本は世界大会で「メダルを狙うチーム」から、「優勝候補」として名前を挙げられる存在へと進化を遂げた。

強さだけではない、世界が日本代表に熱狂する理由

日本代表の魅力は、競技力だけではない。

若くして世界を舞台に活躍する選手たちは、多くのファンをひきつけ、国内では”推し活”ブームとも相まって男子バレー人気はかつてない盛り上がりを見せている。

その熱狂は、今や日本国内にとどまらない。世界的人気を誇る漫画「ハイキュー!!」の存在も追い風となり、「日本のバレーボール」そのものへの関心はアジアだけでなく、北米やヨーロッパにも広がっている。

なかでも熱量が際立つのが東南アジアだ。予選ラウンドがフィリピンで開催された際、会場は日本代表を応援する現地ファンで埋め尽くされた。選手が姿を見せるたびに大歓声が沸き起こり、その熱気はホームゲームと見紛うほどだった。

TBSの公式YouTubeより

今の日本代表は、強いだけではない。世界中から愛され、応援される――。そんな数少ないナショナルチームへと成長している。

人気になるほど、見づらくなる時代だから

ここまで日本男子バレーが強くなり、世界中から注目される存在になったからこそ、あえて伝えたいことがある。

それは、「今、このチームを見てほしい」ということだ。

近年、スポーツを取り巻く環境は大きく変わり始めている。

今年3月に開催されたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、放映権料の高騰によりテレビ各局が放送権を獲得できず、配信サービスでの視聴が中心となった。サッカーのFIFAワールドカップでも、ダイナミックプライシング(変動価格制)や公式リセール制度の導入によって観戦チケットは高騰し、世界最高峰のスポーツイベントを現地で楽しむハードルは年々高くなっている。

人気が高まるほど、見るためのコストも上がっていく。それが現在のスポーツ界の現実だ。その点、ネーションズリーグはTBSとU-NEXTが中継・ライブ配信を行っており、多くの人が日本代表の戦いを見届けられる環境が整っている。

日本男子バレーは、この先も世界の頂点を目指し続けるだろう。しかし、その強さと人気が比例するほど、「誰もが気軽に見られる代表」であり続ける保証はない。

だからこそ、世界一に最も近づいている「今」を見届けてほしい。歴史が動く瞬間は、いつでも見られるものではない。

文/加藤聡 内外タイムス編集部

関連記事一覧